# 不正

「私はこうして武器商人にまつりあげられた」冤罪を訴える男の全告白

5月、有罪判決が下された
隼二郎 プロフィール

捏造の疑惑

別の新聞によれば、炭素繊維の製造装置の輸出の摘発は全国初という。しかしここで松原氏の主張は全く異なる。松原氏が輸出した炉は炭素繊維の製造装置などではなく、排ガス処理装置であり、性能的に言って炭素繊維の製造にはとても使えないというのだ。

炭素繊維は日本発の技術で、製造が非常に難しく、現在も東レや三菱ケミカルなどの日本企業が世界シェアの多くを占める分野だ。その製造技術や製造装置は簡単に輸出できるようなものではないと松原氏はいう。

「まるで私がミサイル製造に必要なパーツを輸出して何億もの金を得た武器商人かのように報じられましたが、とんでもない“大誤報”ですよ。私が輸出したのは排ガス処理装置。ただの鉄製の箱と耐火材です。

記事にある『炭素繊維の製造装置の一部の鉄製炉体』などではありません。耐熱材の耐熱温度、厚さ、ヒーター性能などのデータを国際基準に照らしても、炭素繊維の製造に使えないことは明らかで、そのことを証明する科学的な資料も証拠として提出しています」

 

ここに検察側が証拠として握っていた「設備購入契約書」がある。日本の省エネ機器販売会社が中国の企業に「炭素繊維用の設備セット」を約3億4000万円で販売する旨の契約書であり、そこには日本企業の「テクノロジー担当者」として松原氏のサインが記されていた。しかしこの契約書は、「捏造である」と松原氏はいう。

契約書の中身1
拡大画像表示
契約書の中身2
拡大画像表示

「この契約書もまったくのデタラメ。私のサインも偽造であることが筆跡鑑定で明らかになっています。また、もしこの契約書に書かれたように、年間400トンもの炭素繊維の生産ラインを保証するものだとしたら、3億円では安すぎる。常識的に考えて、120億円以上の取り引きになるはずです」

中国に輸出した炉は炭素繊維の製造に使えるものではないが、もともと炭素繊維製造に関わってきた松原氏は炭素繊維に詳しく、その知識は国内における事業にいかんなく発揮される予定だった。