# 不正

「私はこうして武器商人にまつりあげられた」冤罪を訴える男の全告白

5月、有罪判決が下された
隼二郎 プロフィール

警察官の差別的発言

不可解ながらも一応の決着を見た今回の刑事裁判。だが、取材を進めると、警察・検察による不当捜査の実態が浮かび上がってきた。

「判決に対してはいまだに信じられない気持ちでいっぱいです。なぜ私が、武器商人かのように仕立てあげられ、400日以上もの間、勾留されたのか、今でも納得がいきません。裁判官は、証拠の捏造・隠蔽をした検察側の言いなり。もちろん控訴しました」

とは当の松原氏である。彼の証言をもとに、事件を振り返っていきたい。

 

彼が逮捕されたのは2017年3月8日。当日の出来事を今でもはっきりと覚えているという。

「朝早くに捜査員が自宅に押しかけてきて、身柄を拘束されました。おまけに新聞社も何社が来ていて、警察車両に連行されるところを撮影され、翌日の新聞にデカデカと掲載されていました」

最初の捜査は、さらにその半年ほど前に遡る。

「実は前年の10月に強制捜査を受けており、その際には、広島県警の警察官(警部補)に、『お前は朝鮮人に育てられた。だからお前がやった』と暴言を浴びせられました。そして逮捕後、広島中央警察署に連行され、取り調べを受けた時も同じ警察官が、『お前の奥さんも元をたどれば朝鮮人だ』『朝鮮人に育てられ、朝鮮人の嫁をもらっているではないか』と、差別発言を繰り返したのです。

実際、私の養父も妻も在日朝鮮人ですが、妻はすでに帰化しています。事件とはまったく関係のない違法な取り調べ、警察の人権侵害については、『被告人最終陳述書』にはっきりと明記して抗議しております」

2017年3月9日付の「中国新聞」はこの事件を大々的に取り上げた。

『中国へ炭素繊維製造装置』という見出しのもと、〈軍事転用可能な炭素繊維の製造に不可欠な「不融化炉」の一部を中国へ不正に輸出〉(引用、以下同)〈13年5月3日、炭素繊維の製造装置の一部の鉄製炉体1台を、経済産業相の許可を得ずに輸出した疑い〉と、その容疑について記している。

外為法違反逮捕記事
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さらに、問題となっている炭素繊維については、〈北朝鮮の相次ぐミサイルの発射などで軍事的な緊張が高まる中〉とその背景に触れつつ、

〈鉄よりも軽く強度は10倍以上とされ、弾力性もある。ゴルフクラブや飛行機の構造材などに使用される一方、ミサイルの構造材、ウラン濃縮に用いる高性能遠心分離機などに転用される恐れがあるため、輸出が規制されている〉と解説している。