# 不正

「私はこうして武器商人にまつりあげられた」冤罪を訴える男の全告白

5月、有罪判決が下された
隼二郎 プロフィール

裁判長が「見せしめ」と…

去る5月24日、広島地裁において、かねてから注目を集めていた刑事裁判の判決が言い渡された。

「被告人を懲役2年に処する。この裁判確定の日から4年間、刑の執行を猶予する」

被告人は産廃業元代表の松原宏行氏(60)。「外為法違反(無許可輸出)」で逮捕・起訴されながら、2018年3月1日の初公判から一貫して無罪を主張してきた。だが、俗に言う刑事裁判の有罪率「99・9%」の壁は厚く、被告人にとって無情の判決が言い渡された形となった。

事件の詳細は後述するが、傍聴席から見守り続けてきた支援者の一人はこう振り返る。

「無罪判決が出ると信じていたのですが、残念です。1年以上にわたって審理が行なわれてきましたが、おかしな裁判でしたよ。松原さんは、炭素繊維を作るのに不可欠な『部分品』を中国に不正輸出した容疑で起訴されました。争点はその『部分品』が、外為法で規制する貨物にあたるかどうかでした」

少し専門的な表現が含まれるので解説を加えたい。

 

「部分品」とは外為法の定義で、「他の用途に用いることができるものを除く」装置を指す。

罪状は、『軍事転用可能な炭素繊維の製造に不可欠な「不融化炉」の一部を中国に不正に輸出した』というものであるから、この「炉」が炭素繊維を作るために設計されていなければならない。そうでなければ申告の必要はなく、「不正な輸出」に該当しない。しかし松原氏や支援者の主張では、この「炉」はそもそも炭素繊維を作るためのものではなく、そのような能力も持っていないというのだ。

「弁護側はきちんとした証拠を提出しているにもかかわらず、検察側の証人たちは、実際に輸出された現物とは異なる図面上の空論について話すばかりで、確たる証言や証拠が掲示されないまま、判決の日を迎えたのです。マスコミの間でも話題になっていたようで、傍聴席には報道関係者の姿も多く目につきました」

だが、先述したとおり、結果は有罪判決。懲役2年(執行猶予4年)に加えて1000万円の罰金が科された。期日までに支払いができない場合は日当4万円の計算で労役場に収監されるという。

先ほどの支援者が言うには、

「判決を言い渡した裁判長が判決文を読み上げている時、『見せしめ』という言葉が出てきたので驚きました。また、1日4万円という換刑処分についても、高額すぎる。労役の日当は1日5000円が相場。1万円を超える日当など聞いたことがありません」

つまりこの判決は、武器に関係する技術を輸出しようとしている者に対して、外為法の存在をアピールし、松原氏らに対するこの厳刑を「見せしめ」に使ったのではないかというのだ。