発売戸数が4割減…首都圏・新築マンションの異変が暗示すること

価格暴落はあるのか、ないのか
加谷 珪一 プロフィール

共働き×クルマなし世帯の増加がもたらすこと

人口減少は経済規模の縮小を意味しており、多くの企業が収益の伸び悩みという問題に直面している。困ったことに日本企業の国際競争力は大きく低下しており、労働者の賃金は減る一方だ。かつての日本では専業主婦世帯も多かったが、これはもはや幻想といってよい。日本の全人口に占める就業者の割合は先進国としてはかなりの高水準となっており、日本は老若男女問わず労働しないと生活できない社会となっている。

さらに言えば、年金財政の悪化から、政府は年金支給開始年齢の引き上げを画策しており、企業に対して70歳までの継続雇用を求めるなど、生涯労働制へのシフトを急ピッチで進めている。

 

これからの日本社会においては、夫婦共働きは当然のことであり、しかも定年という概念がなくなり、一生涯労働するのが当たり前になってしまうのだ。多くの人にとって、気が滅入る話かもしれないがそれが現実である。

そうなのだとすると、これまで一部の人からは無謀だと指摘されてきた長期の住宅ローンについても、検討する人が増えてくることになる。一生涯働くということになると、遠距離では職場の選択に支障が出てくるので、利便性の高い場所が重視される。

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これに加えてシェアリング・エコノミーの進展によってマイカーを放棄する人が増えてくるのも確実である。そうなってくると、必然的に都市部の利便性の高い物件には今後も高いニーズが生じることになる。人によっては、相当な無理を重ねてでも、こうした物件を手に入れようとするだろう。

このところ都心部のマンションを購入しているのは、いわゆる高額所得者ばかりではない。親が子どもの将来を考え、無理をして多額の頭金を援助し、夫婦共働きでギリギリのローンを組むケースも多いという。こうした実需が続く限り、都市部のマンション価格が暴落する可能性は低い。