2019.06.06
# 経済・ビジネス

採算性の悪い地方空港に活を入れる「冴えたやり方」

未来の空旅はどう変わるか・その8
戸崎 肇 プロフィール

しかし、コンセッションの売却においては、結果的に2012年からのLCCの就航、並びに急増するインバウンドが強い追い風となった。まさに「神風」といってもいいだろう。関西国際空港の利用者は毎年最高値を更新するような好調さを持続してきた。

ただ、順風満帆が続いた後の2018年9月、台風21号が関西を来襲した際、関西国際空港へと至る連絡橋に強風に押し流されたタンカーが衝突し、連絡橋が破損、通行止めとなり、空港島が孤立することになる。

 

同時に、滑走路や空港ターミナルが部分的に冠水し、大きな被害を受けた。この際、連絡橋を巡って、安全性をしっかりと保証したうえで再開したとみなせるかどうかで議論が生じた。

一刻も早く再開し、運航を正常化させたいとはいうが、それよりもむしろ、経営上の損失を最小化させたいのではないか、という批判である。もちろん、どちらの面も理解できるが、非常時の対応に問題を残すこととなった。

問われる災害対応力

関西国際空港が台風による被害を受けた直後、今度は北海道に大規模な地震が発生し、千歳空港が機能不全に陥った。千歳空港は道内主要都市から主に鉄道で結ばれており、ある意味では関西国際空港と同様に「隔離」された環境にある。

鉄道などの2次交通がストップすることで、空港内に利用者などが多数滞留し、どう対応するかが問われることとなったおだ。似たような事例はこれまで広島空港でも、また沖縄の那覇空港でも発生している。

こうした状況が以前と違っているのは、インバウンドの増加によって、外国人旅行者に対して正確な情報提供、適切な誘導をどのようにして行えるかが問われるようになったことである。

来年、東京オリンピックが開催される期間は台風の来襲期にもあたる。よって、空港における自然災害対応について、より精緻に、しかも国際化対応を強化した形で早急に体制を構築しなければならない。

コンセッションの売却については、こうした点も売却先の選定において重要な評価ポイントとすべきである。

今後の目玉は広島空港

この千歳空港についても、現在コンセッションの売却先の選定について審議が進められ、今年の夏頃には売却先が決定される。

当初は関西エアポートを運営するオリックス・グループも手を挙げていたが、先述の台風による被害対応を理由として途中辞退しており、現在は2つのグループの争いとなっている。

千歳空港のコンセッションの売却については、千歳空港だけではなく、旭川、帯広など、道内7空港のコンセッションを一括して売却するという点に特異性がある。

千歳空港だけであれば収益性は高いが、他の6空港をいかに効果的に運用し、収益を上げていくことができるかが最大の評価ポイントとなる。

確かに北海道は観光地として、国内だけではなく、アジア諸国を中心に海外からの人気が高い。特にタイや台湾などの雪が降らない地域の人々にとっては、冬の北海道の魅力は相当に大きいものがある(なお、最近は中国からのスキー客も激増している)。

このことを考慮すれば、北海道内空港の活性化は容易なようにも思える。

空港からの交通網が北海道の課題(photo by iStock)

しかし、道内を移動するためのバスが足りない。そもそもバスのドライバーが不足している。鉄道網もどんどん縮小されている。

空港間のネットワークをどのように強化し、各観光地へのアクセスをよいものとしていくことができるか、など、実際には解決しなければならない難しい問題が数多くある。これらにどのような解決策を示し、実行していくことができるかが今後の空港運営権者には問われている。

この他に空港のコンセッションの売却が行われたのが四国の高松空港、九州の福岡空港などであり、今後の目玉としては広島空港がある。

空港経営における民間活力の導入が果たしてどこまで有効であるかは今後の評価に待たなければならないが、空港が公益的な役割を持つ以上、単純に商業的な利益を追求するだけでは問題がある。この点については、公的な空港政策としてしっかりと見守っていく必要がある。

次回は、地方空港の最近の展開について見ていくこととしよう。

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