2019.06.06
# 経済・ビジネス

採算性の悪い地方空港に活を入れる「冴えたやり方」

未来の空旅はどう変わるか・その8
戸崎 肇 プロフィール

この先駆的なケースとして知られるのが英国の空港の民営化である。

民営化の結果誕生した英国空港公団(BAA)は、航空事業からもたらされる収益と同時に、空港内の売店などから得られる非航空収入の最大化に努め、成功を収めた。このような非航空系収入の最大化は、今日でも空港経営の主要な命題となっている。

日本の空港で、英国空港公団の動きに倣った政策を先駆的に採用したのが、中部国際空港である。名古屋のみならず、日本経済全体を牽引するトヨタ自動車から派遣された経営陣は、従来の空港経営の常識を覆し、低コストながら非常に機能性の高い空港を「創造」した。

 

空港内に乗り入れる鉄道の駅から搭乗口までは、バリアフリーつまり階段などの上下移動を経ることなく至れる(この後に造られた羽田空港の国際線ターミナルも、モノレールを使えば同様のつくりになっている)。

また、空港ターミナル内にバザールを設け、楽しく買い物ができるようにしている(この点に関しても、羽田空港国際線ターミナルは「江戸仲見世」として同様の工夫をこらしている)。

中部国際空港はバリアフリーに注力した(photo by iStock)

復興のシンボルとしての仙台空港

日本におけるコンセッションの売却の1号案件となったのは、宮城県の仙台空港である。

仙台空港が先駆けとなったのは、2011年におきた東日本大震災が大きく関係している。震災からの復興事業の1つとして、仙台空港のコンセッションの売却が位置づけられたのだ。

仙台空港は東北地域における中心都市である仙台を後背地として抱え、東北の中心空港として重要なポジションを占めている。しかし、大震災の際には、津波の被害を受け、壊滅的ともいえるダメージを受けた。

そこから立ち直ったことで、仙台空港は復興のシンボルとも位置付けられる存在となった。この空港の運営に、コンセッションの売却を通して、さらに民間活力を導入することで東北地域の復興を後押ししようというものである。

ただ、仙台の場合には、航空路線の運営という観点から、「大きな需要がある東京と近すぎる」という大きな「不利な点」がある。新幹線との競争力において、通常、地方空港にとってのドル箱路線である東京との便がほぼ設定できないのである。

なるほど、アイベックスエアラインズが仙台空港と成田空港の間に、国際線へ、あるいは国際線からの乗り継ぎ需要を摘み取るべく、路線を開設しているが、それも限定的なものである。このような不利な点をどのように克服すべきか。

もちろん、国際線などの路線を誘致することも重要だが、非航空系収入を増加させることが同様に重要である。ここにコンセッションを民間に売却したことの大きな意味が見いだせる。

実際、その効果は徐々に現れてきており、今後に期待できる。

絶好調だった関空・伊丹を襲った悲劇

仙台空港の次にコンセッション売却の対象となったのが関西国際空港、並びに伊丹空港である。両空港は一体経営として、コンセッションが売却されることになった。また、この売却先には、外資系の空港運営会社が入ったことも注目された。

関西国際空港は、民間事業として建設されたことから、巨額の有利子負債を抱え、その返済をどう円滑に進めていくかがポイントであった。

その上で、先にも触れたように、もともと伊丹空港を閉港とすることで関西の窓口を一本化することによる需要を見込んでいたこともあり、利益を上げていくことがどこまで可能であるかが問われた。

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