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# 経済・ビジネス

採算性の悪い地方空港に活を入れる「冴えたやり方」

未来の空旅はどう変わるか・その8
コンセッション(空港の運営権)を民間へ売却することによって、近年、日本の地方空港経営が大きく変わりつつある。果たしてそれは採算性の悪い地方空港を救えるのか? 首都大学東京特任教授の戸崎肇氏が、航空の現況と今後の展望・課題について利用者目線から追っていく、連載第8回!

地方空港という負担

前回の連載では、近年、国際線を中心に急増する航空需要に対して、羽田・成田といった首都圏の大都市空港の供給が十分に対応しておらず、今後の観光面での成長戦略の展開にとって大きな足かせとなっている現状について述べた。

 

今回からは、首都圏以外の空港では、国際化への対応、またインバウンドの増加を大きな契機とした地方活性化を促す手段としての地方空港のさらなる活用など、今後どのような空港政策が展開されようとしているのか、そこにどのような問題が潜んでいるのかを見ていきたい。

空港の運営については、従来、地方空港を中心に、経営努力が十分になされていない、その結果、採算性が悪く、利用者のみならず、空港が所在する地方自治体にも大きな財政的負担をかけているという指摘がなされてきた。

というのは、空港の建設、運営については、国民の税金、地方税が投入されているからである。

その一方、多くの地方空港は地域独占の状態にあり、特段の経営努力をしなくても存続できたことも確かである。

航空機さえ飛んできてくれたらその存在は是認されるのであり、空港をつくったからには、航空会社にも「公共交通機関」としてその空港に乗り入れる「義務」のようなものが暗黙のうちに課されてきた。

地方空港は不便で非効率的か(photo by iStock)

慈善事業は許されない

しかし、こうした暗黙の「義務」も、2010年のJALの経営破綻をきっかけとして解消されていくことになる。

規制緩和政策が推進されていく中、航空会社間の競争も激しくなり、いくら地方からの乗り入れ要請があっても、「公益性」「公共性」の御旗のもとに、採算性を度外視して路線を開設することは航空会社にとって不可能となったのだ。

現在、航空会社は民間の株式会社となっている以上、株主利益を重視することは当然であり、長期的に見ても、「慈善事業」として利益に結びつく可能性のない路線を開設することは許されなくなっている。

それでも、地方空港は当面存続すればいいという発想になりがちなのは、経営陣が地方自治体からの出向者、あるいは退職後のポジションとしてその職務についていることから生じている場合が多く見られるからだ。

もちろん、中には非常に経営感覚に優れた経営陣を地方空港に見いだすことはできる。しかし、多くの地方空港が赤字決算となっていることも事実である。

コンセッションと中部国際空港

そこで、最近になって取り組まれているのが、空港経営における民間活力の導入である。これはコンセッション(空港の運営権)の民間への売却によって推進されている。

長期間(数十年単位)にわたるコンセッションを民間に売却する。それを買収した側は、その期間で投資額を回収し、利益を得るために、様々な工夫をこらして利益の最大化に努めることになる。