中村は毎日ステーキ食ってるんだろ

人間は時に思いこみが強くなる――。そんな風に思うようになったのは、小学校低学年のときのことがきっかけです。

同級生の男の子たちに、

中村の家は金持ちだから、毎日、ステーキ食ってるんだろう?

とからかわれたのです。もちろん大富豪ではありませんし、お肉ばかり食べていたわけでもありません。健康にも悪そうですよね。当時、むしろイシイのハンバーグのほうが好きだったわたしは必死で否定したのですが、「いや、食ってる! 食ってる!」。何度かそんなやりとりをしているうちに、否定するのも面倒くさくなってきました。

こんなこともありました。近所でさえも車で出かけるのが好きだった母は、当時、国産車に乗っていたのですが、あるとき同級生のお母さまに、「江里ちゃんのお母さんは、いつも素敵な外国車に乗っていてかっこいいわねえ」と言われたのです。

明確な国産車に乗っていたのだけれど、「外国車」と断言されてしまう…… Photo by iStock

わたしが何を言おうと、同級生やお母さまたちにとっては、わたしたちが毎日、ステーキを食べ、母が外国車に乗っていることが、「事実」となってしまっている――。人は思ったとおりに物事を運び、結論を決めたがるものなのかもしれないなあと、よく母と話しましたっけ。

「中村江里子、男を引き連れて」

そんなわたしですが、初めて週刊誌に自分の名前が出たときには泣きました。

フジテレビに入社して、半年ほどたった頃でしょうか。同期の男の子たちと六本木に食事に行ったら、

「中村江里子、男を引き連れて」

というようなことをある週刊誌に書かれたのです。
職種がアナウンサーというだけで、普通に会社にお勤めしている一社員という感覚でいたわたしは(実際、新入社員としてコピー取りもお茶くみもしていました)、本当にびっくりしたし、ショックでした。あまりに驚いて、アナウンス室の先輩に、「わたし、こんなこと、書かれてしまったんです」と相談したら、「そういうものなんだよ」と。そうか、そういうものなのか……、と思ったものです。