なにかが起こると、SNSでバッシングが起こります。しかし、時に事実をベースにしながらも、そのムーブメントが異様に膨れ上がってしまうことはないでしょうか。そして時に事実ではない噂がもとになることもあるのではないでしょうか。

元フジテレビアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍する中村江里子さんも、様々なバッシングを経験しました。自身の責任で受けることもあれば、そうでないこともある――エッセイ集『女四世代、ひとつ屋根の下』より、そのときの体験を、抜粋掲載します。

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バッシングされたときのこと

アナウンサーとして、忙しくお仕事させていただいていた日々が、いまはなんだかすごく昔のことのように感じます。週刊誌などに頻繁に取り上げられていたときのことも、そうです。

いまでも時々、思い出すことがあります。あの頃はわたし自身よりも、家族のことが心配でした。記者の方がコメントを取るために実家にまで訪ねてくることがあったのですが、当時、昼間、自宅にいたのは祖母だけだったので、なにかあったとき、家族に迷惑がかかってはと不安でたまりませんでした。

江里子さんが高校1年生のときまで、中村家は四世代同居の大家族。仕事をしてからは祖母の槇さんが一人で留守番をしていたところに取材が来るのが心配でした 写真提供/中村江里子

まあ、祖母は祖母で、インターフォンには出ても、「わたしにはわかりません」などと言って対応していたようですけれど。何も知らない、無防備な家族がさらされるのがなによりつらかったのです。

あるブランドの洋服をお借りして番組で着させていただいたとき、スタイリストの方から値段を伺って、驚きのあまり、「上下合わせて、総額は○○円くらいなんですよ、すごいですよねえ」と雑誌のインタビューでお話したら、週刊誌に「中村江里子は全身○○円」と書かれたこともありました。

また、ある宗教団体が関係している司会をやって、あとで大きな問題になったこともありました。「出版社の新刊発表会の司会をしてほしい」と知り合いの方から紹介され、深く考えずにお引き受けしました。ところがそこはその宗教団体の出版物を取り扱う出版社だったのです。お仕事を引き受けるにあたって、それまでにそのイベントの司会を務めたり、ゲストで参加されたりした方々のラインナップを見せていただいたりしたのですが、わたしなど足元にも及ばない著名な方がたくさん関わっていらしたことも、なにも考えなかった理由でもありました。当日になってなにかおかしいとは感じましたが、後の祭りでした。

もちろん、仕事を引き受けたのは自分の責任です。この司会の件は、想像もしなかったほどの騒ぎになってしまい、とても戸惑い、なにより家族に申し訳ないという思い、そして、軽い気持ちでお仕事を受けてしまった自責の念でいっぱいでした。

言い訳をすることはできません。自ら反省をして、今後仕事を引き受ける際には重々気を付ける意識を持つことが、ただわたしにできることでした。