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FCAのルノー買収は世界自動車再編の序章だ!

ただし生き残るのは2,3社だけ

負け組の寄せ集め

FCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)とルノーは、経営統合を検討することを5月27日に発表した。

もし、両者が統合すれば、年間販売台数870万台で世界第3位の自動車メーカーになる。また、さらに日産自動車、三菱自動車も統合に加われば、年間1500万台を販売する巨大グループが誕生することになる。

しかし、巨大化することに意味があるのだろうか?

たしかに、シャシーの共通化などコスト削減のために、ある程度の生産台数が必要であるのは間違いない。また、これから新世代自動車の研究開発・投資が益々必要になるから、巨大化して優位に立とうという気持ちはわからないでもない。

しかし、例えば草野球のチームメンバーが、100人集まって、プロ野球の試合に参加しても意味が無い。ハンディ・キャップをつけて1イニング10打席のチャンスがあったとしても、草野球レベルでは、彼らのバットがピッチャーの投球ボールを掠ることも無いだろう。

ある程度の規模が、荒波にもまれる経済の中で、企業を守るのに役立つのは確かだが、その効果は、脂肪でぶよぶよになった巨大化か、それとも筋肉質で引き締まった肉体なのかで大きく違う。

筆者が見る限り、今回のFCAとルノーの統合はぶよぶよ同士の結合であり、日産と三菱が加われば、文字通りの「弱者連合」にしかならない。草野球の選手をいくらたくさん寄せ集めても、プロの選手には歯が立たないのである。

 

どちらかがリーダーになるべき

しかも、現在報道されている限りでは、ルノーとFCAの新たな持ち株会社の株式保有比率は両者の既存株主それぞれが50%ずつとされている。実質的にはFCAのルノー買収の感もあるので、今後比率が変更される可能性もあるのだが(日産や三菱が絡んだ場合も色々な交渉が行われるであろう)、50%対50%でどちらに支配権があるのかわからないような状況ではとん挫する可能性が高い。

どちらかが50.1%でどちらかが49.9%にすべきなのである。

そうしなければ、統一後、経営の主導権争いで、無駄なエネルギーを浪費し、会社の将来に大いにマイナスになる。

ルノーと日産の関係がまさにそうであり、ルノー主導と言いながら、日産にも対抗可能な力を与えてしまったのが混乱の原因である。

争いの余地の無い支配権をどちらかが保有しなければ統合はうまくいかない。

今回、FCAがまるで「トンビが油揚げをさらうように」登場してきたのも、ルノーの日産買収戦略の失敗によりルノー・日産連合が混乱したのが原因であるといっても過言ではないと思う。

なお、現在の日産やルノーがどのような状況なのかは、当サイト5月15日の記事「国策自動車会社であるルノーも日産も、結局、生き残れはしないだろう」で詳しく述べている。また、日産自動車や三菱自動車の優位性がもてはやされ、欧州が必死になって導入を図っている電気自動車の将来については、当サイト2018年8月27日の記事「騙されるな、空前の電気自動車(EV)ブームは空振りに終わる」で触れた。

もちろん、クライスラーは全体的に苦戦している米国自動車会社の中でも負け組だ。フィアットは、独自の哲学で頑張っている自動車会社だとは思うが、世界市場でメジャープレイヤーとして生き残るタイプの企業では無い。