「イッテQ」ヤラセ疑惑の議論は進展せず…見え隠れするBPOの限界

政府も再構築を画策中…?
高堀 冬彦 プロフィール

どうなる?制度改革の行方

アメリカのFCCの場合、メンバーは大統領が上院の同意を得て任命した5人。そして、大災害や犯罪などの虚偽情報を厳しく禁じているほか、クイズ番組などで視聴者を欺くこともまた禁じている。

下品な放送も厳しく制限している。2004年のスーパーボウルのハーフタイムショーでジャネット・ジャクソン(55)が胸を露わにした際、これを放送したCBSに55万ドルの制裁金を科した(当時)。また、FCCには停波や放送免許取り消しを行う権限もある。

イギリスにもやはり政府から独立した通信庁(OFCOM)があり、放送の真実性を求める番組基準を設けている。こちらにも金銭的制裁や免許取り消しを行う権限がある。

どこの先進国にも独立した監督組織があり、放送局の不正や不実には厳しい。「電波は国民共有の財産」という意識が浸透しているせいだろう。監督組織は国民の電波を守っているのだ。制裁金がある組織が目立ち、ペナルティーは総務省よりシビアである。

一方、BPOの放送倫理検証委員会の場合、番組の倫理上の問題点を「勧告」または「見解」として取りまとめ、放送局に通知する。また、それを公表する。放送局に再発防止計画の提出を求めることもできる。

ただし、あくまで放送界がつくった任意団体なので、制裁金は取れないし、もちろん停波する権限はない。この辺に自民党はBPOの限界を感じているのかも知れない。

 

さて、日本では目下のところ、安倍政権が放送制度改革を実行中だ。BPO再構築のほか、ネット時代到来に合わせて放送法4条の撤廃などが視野にあるとされている。

放送制度改革を推進するにあたって、安倍政権の枷となるのは「クロスオーナーシップ」だろう。これもケイ氏が問題点として挙げたが、放送局と新聞社が資本で結ばれていて、連携する仕組みである。「多様な意見の提供を阻害する」といった理由で欧米では制限されているが、日本では許されている。新聞各紙を眺めてみると、放送界に不利益になりそうな制度改革には、そろって反対の声を上げている。

決して皮肉ではなく、BPOには首相と放送局経営陣の親密な交際問題、独立監督組織問題、クロスオーナーシップ問題を調べてもらい、それが視聴者にプラスかどうかの見解を示してほしい。それが視聴者の利益に結びつくに違いないからだ。

日本の場合、電波が国民共有の財産となっておらず、放送界は既得権と思い込んではいないか? 一方、電波も放送も政府や自民党のためにあるわけでもない。

最優先で考えられるべきは国民の利益。放送が国民によりプラスになる制度改革が求められる。