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讃えられる君主、非難される君主

【5分de名著】マキャベリ『君主論』全訳注:佐々木毅③
現代新書の姉妹シリーズ「講談社学術文庫」がおおくりする「5分de名著」第2弾はマキアヴェッリ『君主論』。今回のテーマは、君主の資質と評価について。時と場合によっては、支配者は悪評を気にしなくてもよい!?

君主が賞賛・批難される原因について(第一五章)

君主がその臣民や味方に対してどのように振舞い、統治すべきかを論ずるのが残された課題である。このことに関して多くの人々がすでに論じていることを私は知っており、私自身がさらにそれについて論ずるのは――しかもこの問題の取扱いにおいて他の人々の議論の仕方と非常に違った形で行うのは――僭越だと考えられはしないかと心配である。

 

しかし私の狙いはそれを読む人にとって有益な事柄を書くことであり、したがってそれについて想像よりも事柄の現実的真理に即するのがより適切であると思われる。

多くの人々は実際見えもしないし、知覚されもしない共和国や君主政を頭に描いている。しかしながらどのように生きているかということと、どのように生きるべきかということとは非常にかけ離れているので、なされるべき事柄を重視するあまりなされている事柄を省みない人は、自らの存続よりも破滅を招くことを学んでいるようなものである。

なぜならば自らの職務すべてにおいて良きことを実行しようとする人は、良からぬ人々の間にあって破滅することになるからである。それゆえ君主は自らの地位を維持しようとするならば良くない人間になりうることを学び、必要に応じてこのような行動をとったりとらなかったりする必要がある。