佐藤優氏と筆者

末期の膵臓がんの僕が最後に伝えたい「人生を生き抜く8つの極意」

作家・佐藤優氏の親友 病床にて語る
作家・佐藤優氏の高校時代の親友であり、佐藤氏の新刊『友情について』の主人公でもある豊島昭彦氏(59歳)――豊島氏は現在都内の病院で末期の膵臓がんと必死に闘っている。食事の代わりに点滴を打ちながら、約10分にわたって語った「最後に伝えておきたいこと」。

辛かったことも、時間がたてば「思い出」になる

あらためて、ふりかえってみますと、大したことのない人生だったなって思います。……でも、誰の人生にも山と谷があるんでしょうけど、僕の場合は会社が倒産したり、突然外国人の方が上司になったりとか、ちょっと他の人とは違う「谷」だったわけで……当時は辛かったこともたくさんありますけど、ふりかってみると、それはそれで貴重な体験だったな、「思い出」になったなと今は思っています。

 

今だからそう言えるんだけど(笑)。

そういうことを気づかせてくれたのが、この本の出版をもちかけてくれた友人の佐藤優君です。僕の人生なんて本当につまらないものだと思っていたのに、「そんなことはない。君の体験を後世の人のために遺すことにはきっと意味がある」と言ってくれた。

筆者提供

あんなに忙しい佐藤君が、僕が末期の膵臓がんであることをメールで伝えたらすぐに会ってくれて、その場で出版を勧めてくれて、しかも他の仕事をすべて後回しにして、年末年始も費やしてひたすら原稿を書いてくれた。あらためて佐藤君に感謝するとともに、彼の本当の凄さを知った気がします。

「人生を生き抜く極意」とは

僕は、佐藤君と担当編集者のリクエストに応える形で、「人生を生き抜く極意」8ヵ条というものを書き、それを本の最後に載せてもらいました。あの8ヵ条も、当たり前といえば当たり前のことばかりですけど、たとえ人生でどんなことが起こっても、その場の流れに合わせて生きていくことって、やっぱりとても重要なことだと思います。

いま僕は末期の膵臓がんで、身体を動かすのもしんどくなっています。定期的に人間ドックにも行っていたし健康診断も受けていたけど、このがんは、見つけられませんでした。だからこれは、「自分の力ではどうしようもないこと」です。

「自分の力ではどうしようもないこと」が、人生ではいろいろと起こります。そのとき、どうするか――。僕は、銀行員時代に会社の倒産をはじめ、「自分の力ではどうしようもないこと」がいろいろあったけど、なんとか新しい目標を立ててやってきた。

今回の病気も同じです。なかなか厳しい状態が続いているけども、それでも新しい目標を立てて、あきらめずに、その新しい目標にエネルギーを点火していくというのかな……まあ、それは現実から目を背けるということと表裏一体かもしれないけど、とにかく前向きにやっていくしかない。僕は仕事でいろいろあったから、今もそう思ってなんとか落ち着いていられるのかもしれません。

たとえば、外部から何を言われても動じない、芯の強そうな人っていますよね。でも、僕にはそんな強さはなかった。だから弱い枝は弱い枝なりに、強い風に折られないようにしなければと思って懸命に生きてきました……ですから、僕と同じような弱いタイプの方には、あの8ヵ条はそれなりにお役に立てると思いますよ(笑)。