東大卒・女性キャリア官僚の私が、霞が関を去った理由

この国の中枢で起きていること
奥村 まほ プロフィール

モチベーションを奪われる職員

私が官僚として働きながら日々感じていたのは、「就職前の私は何を勘違いしていたのだろう」ということでした。

官僚の仕事は過酷です。夕方からが本番といっても過言ではありません。国会の会期中には、夕方に通告された質問に対する回答をその日の夜から翌朝にかけて作成することもしょっちゅう。法改正に携わるチームに配属されれば、数ヶ月のあいだ毎日のように終電帰りや深夜残業が続きます。

 

多忙な時期には土日祝日や年末年始を返上して職場に泊まりこみ、月200〜300時間の残業をこなしている職員もいました。ここまではいかなくとも、月100時間前後の残業を数ヶ月以上に渡って続けている職員は決して珍しくありません。

しかも、長時間の残業をしながらこなす業務は、有意義なものばかりではないのが現実です。国会対応における「待機」など、時間を費やす意味を感じづらい業務もあります。また長時間労働の割に給料が高いわけでもなく、残業代が出る保証もありません。

同学歴・同年代で同じくらいの激務をこなしている人と比べれば、恵まれているとは言いがたい待遇です。こうした状況に疲弊してモチベーションを奪われる職員は男女問わず少なくありません。

〔PHOTO〕iStock

深夜にベビーシッター

こうした光景を目にして、私の中で不安としてわだかまったのは、やはり結婚・妊娠・出産・子育てと仕事の両立の難しさでした。

「長時間労働の霞が関にいる限り、家庭とキャリアの両方を充実させるのは不可能なのではないか」という不安は女性官僚に重くのしかかります。当たり前ですが妊娠・出産は女性にしかできませんし、男性の家事・育児参加が叫ばれる昨今でも、負担は女性に偏っているのが日本の現状ですから。

実際、知り合いの女性職員には、睡眠不足とストレスで生理がこなくなった人がいました。夫婦ともに官僚で、繁忙期には深夜にベビーシッターを呼んでいる家庭の話も聞いたことがあります。霞が関で働きながら結婚~子育てにおけるあらゆるハードルをクリアするには、高いモチベーションと体力・精神力、パートナーの理解と協力体制、周囲の手厚い支援は最低限必要でしょう。