大きな人気を集めたモンパチは、地元のレーベルの目に留まり、インディーズとしてデビュー。一方、上京して映像ディレクターになった山城氏は、ミュージックビデオやコンサートに使う映像など、モンパチにまつわる映像関係をすべて任されるようになった。

「僕がMONGOL800を知ったのは、『あなたに』という曲から。CMソングにも使われていて、『小さな恋のうた』と並ぶ大ヒット曲ですよね。この2曲ともアルバムの曲で、実はシングルカットはされていないんです。彼らいわく、『アルバムの中に入っている曲をシングルカットするのは、アルバムを買ってくれるファンに申し訳ない』と。山城くんはこれらの曲の映像作品を作りたいと思い立ち、僕に脚本を頼んだんです」

沖縄に完全に軸足を置き、地元愛がとても強いモンパチゆえに、山城氏は「彼らの楽曲を使って、沖縄の本当の姿を伝えたい。アルバム『MESSAGE』に収録している1曲1曲に合わせた、短い物語を作りたい」と平田氏に相談をもちかけた。

「『僕は沖縄に行ったこともないし、沖縄について何も知らないけどいいの?』といったら、『だからいいんです』と山城くんにいわれたんですよ」

映画キャストによるMONGOL800の「あなたに」と「小さな恋のうた」

沖縄はハワイみたいなところだと思っていた

脚本を書くにあたり、まずは素顔の沖縄を知るため、8年前山城氏と一緒に沖縄へと飛んだ。

「正直、彼から話を聞くまではハワイみたいなところなんだろうと思っていました。南国のあたたかい観光地でしょ、と。でも、彼に連れて行かれたところは、いわゆる観光地ではないところばかり。最初はモンパチと彼の母校・浦添高校で、軽音楽部の部室などを見せてもらいました。ほかにも、通学路とかモンパチが高校生の頃から通っていたライブハウスとか。彼らが見てきた風景を僕に見せたかったんでしょうね」

モンパチも山城さんも卒業した浦添高校 写真提供/平田研也

当初はアルバムの1曲につきひとつの物語を描いたテレビドラマ化を目指しており、リサーチや取材で複数回沖縄に通った。山城氏の地元浦添市にも米軍基地があり、平田氏は初めて沖縄の基地を見たという。

日常の中に基地があり、当然のように軍用機が飛んでいる。ほんとうに低空で飛んでいるので、思わず目で追って、『こんなに近いの!?』と驚くと、『え、そうですか?』と僕が驚いていることに逆に驚いていて。それくらい、彼らにとっては“当たり前の光景”だったんです」