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EU懐疑派が急伸した欧州議会の「あまりにも険しい前途」

そもそも「ヨーロッパ」とは何なのか…

運命のEU議会選挙

EU加盟国では、5月23日~26日(国によって異なる)に、5年に一度の欧州議会選挙が行われた。今回はEUの運命を決する選挙と言われたが、結果を見ると、確かにEUの方向が変わり始めている気配が一段と濃くなっている。

欧州議会というのは、人口比によって、加盟国各国の議席数が決まっている。総議席数は751で、人口の一番多いドイツが96議席で最大、小国マルタは6議席だ。そして、各国が、誰を議員として送り込むかを決めるために行ったのが、先週の欧州議会選挙だった。

欧州議会では、各加盟国の同じような政治方針の党が集まって会派を作っており、現在、8つの会派が存在する。一番大きいのが、EPP(欧州人民党)で、中道右派、キリスト教民主主義系の会派だ。そして、その次が、S&D(社会民主進歩同盟)で、言うまでもなく社民党系。これまでは、この二つの会派で大連立を組んで、ほとんど思いのままに運営してきた。

ところが、今回、この2党は、第1党、第2党の地位は保てたものの、票数が落ち込み、両党あわせても過半数を取れなくなってしまった。

その代わりに伸びたのが、リベラル系のALDE会派。彼らは、EUが力を持ちすぎ、各国の自由な経済活動を規制でがんじがらめにすることを嫌う。

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しかし、最も注目すべきは、EU懐疑派、民族主義派など、いわゆる右派ポピュリストと呼ばれている会派の急伸だ。

現在は、これら「ポピュリスト」たちは、欧州保守改革グループ(EKR)、民族と自由のヨーロッパ(ENF)、自由と直接民主主義のヨーロッパ(EFDD)の3会派に分かれているが、もし、一つにまとまれば、一大勢力となる。

 

つまり、今回の選挙の結果をひとことで言うなら、ドイツ政府やフランス政府がどんなに声を高くして「more Europe」を宣伝しても、市民は付いて来なかったのだ。

選挙後のEUは、数多のひび割れを必死になって接着剤でとめて、ようやくその形骸を保っている様子が、さらに露わになった。

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