女がすっぴんで接客はマナー違反?

考えれば、日本には外見に関していちいち口を出してくる人が多い。

久しぶりに会う友人には「太った?」「痩せた?」と聞かれるし、ひとたび電車に乗れば脱毛や白髪染め、ダイエットプログラムといった外見を変える系の広告がずらりと並ぶ。髪色や髪型を強制する学校も少なくないし、なかには校則で下着の色も指定するというのだからすさまじい。

すっぴんで居酒屋のバイトに行けば、客前に出ることは許されずに洗い場まわにされる。これは、わたしがバイトしていた3軒の大衆居酒屋で実際にあったルールだ。顔は洗っているし髪の毛もしっかりまとめているが、それでも「女が素顔で接客することはマナー違反」。

「30代にもなってミニスカートを着るのはみっともない」「母親なのに派手な格好をしている」「外見が劣化しててがっかり」などなど……。

いろんな場所、場面で、他人が外見のマイナス面についてあれこれ言ってくる。

ドイツでは、「化粧してないんだね」「太った?」といった外見への言及は敬遠される。間柄やノリにもよるけど、他人の容姿に口を出さない、他人の容姿を否定しないというのは、基本的なマナーだ(褒めるならアリだが)。そういう価値観に出会った時、「なんて心地よいのか」と思った。そして余計に日本で言われることに「いちいちうるさいなぁ」なんて感じてしまう。

そういえば最近youtubeをはじめた日本人女性たち数人が、立て続けに「外見に関するコメントがたくさんくる」とツイートをしているのを見かけた。女性投稿者の顔出し動画では、たしかに外見に関する言及が多い。

そこには「痩せたね」「髪切ったんだ、似合っている」「かわいい」といったポジティブな意見があるとはいえ、外見についていちいちコメントされれば、自然と「自分がどう見られているのか」を気にせざるをえなくなる。

日本人はよく「他人からどう見られるかを気にする」なんていわれるけど、それは「外見に口を出してくる人が多い」の裏返しじゃないだろうか。外野がゴチャゴチャと外見に口を出すから、どう見られるかが気になるのだ。

外見を磨けといいつつ整形を批判

他人の外見への批評があたりまえになっているからか、「外見を磨く努力をすべき」というプレッシャーもまた強く感じる。

たとえば人気女優やモデルが、「おきれいですね」と言われたとしよう。そうすればほぼ100%、「実は太りやすくて鍛えてるんです」「でもコンプレックスを化粧で隠していて」と否定的な答えを返す。

外見を褒められても、それを自分の自信につなげれば、嫌われる。「自分の見た目が好きです」と言えば、「ナルシスト」だと引かれるかもしれない。

「美しさ」だけを求めるのであれば整形だって認められていいはずなんだけど、整形に批判的な人は少なくない。お笑いコンビ『ゆにばーす』のはらさんによる整形メイクは注目されるのに、「整形しただろ?」と言われるアイドルは必死で「してません!」と答える。

整形に嫌悪感をもつ人も一定数いるだろうが、「整形は努力せずに美しさを手に入れるドーピングだからダメ」という価値観もあるんじゃないだろうか。美しさはあくまで、「生まれ持ったもの」もしくは「努力して手に入れるべき」なのだというような。

もちろん、ファッションやメイク、髪型に気を遣って、より自分を魅力的に見せようとする努力は素敵だと思う。わたしはズボラだから、とても尊敬する。

でも外見を磨く努力を怠ればすぐに「いじり」の言葉が飛んでくるし、やりすぎると「整形」と噂されるし、もともとキレイだと謙遜しなきゃいけないし、なんかもう、いろいろ大変だ。