サッカー日本代表には「どんな選手も招集できる」わけではない事情

「日の丸こそ至高」という意識も今は昔
小宮 良之 プロフィール

クラブ「貸し出し拒否」の前例

にもかかわらず、2016年のリオ五輪ではメンバー選考に批判が集まった。

当時、協会関係者は何度も足を運ぶことで、ヤングボーイズ(スイス)に所属していたFW久保裕也の招集の許可を取り付けていた。

しかしこのとき、UEFAチャンピオンズリーグ予選でFWの一人が故障したことによって、クラブが久保の貸し出しを一転して拒否。約束の反故であるが、クラブとしては「当然の権利」を行使したに過ぎなかった。

あくまで、クラブが優位なのである。

「日本サッカー協会がヘタを打った!」

そんな意見も出ていたが、当時の技術委員はブラジルからスイスへ急遽飛び、再考を促すために交渉しており、最後まで手を尽くしたと言える。

 

意識は変化しつつある

補足するなら、日本と欧州の五輪サッカーに対する認識の差もあるだろう。

日本人にとって、五輪はサッカーも含めて特別なイベントだが、実は欧州ではサッカーに関してはそれほど重視されていない。ワールドカップ、欧州選手権と比べると、遙か下の大会。エキシビションとまではいかないが、お祭りに近い捉え方だ。

欧州からは4ヵ国が五輪に出場するが(ちなみにアジアからも4ヵ国。実力差を考えれば、この時点で違和感がある)、予選はない。2年間をかけて行われるU-21欧州選手権が、五輪予選も兼ねる。大会開催時にUー21の選手が出場資格を持っているわけだが、五輪の1年前に大会は終わるだけに、24才になってしまう選手も少なくない。欧州の人々にとって、五輪サッカーはその程度の存在でしかないのだ。

一方で、Jリーグのクラブは五輪に対して協力的姿勢で取り組んでいる。

リオ五輪では「一つのクラブにつき最大3名招集可能」。五輪の重要性を踏まえてのことだ。

「日の丸を背負うことこそ最高権威」

今も、その考え方は根強い。どのカテゴリーであっても――いわんや、A代表なら協力して当然と言うべきか。選手も、多かれ少なかれ、その意識を残している。

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しかし選手と契約するクラブにとって、その考え方は次第に変化しつつあるのだ。

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