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トマトのカゴメ、ここへきて「健康サービス事業」を始めた本当のワケ

創業120年。寺田直行社長に聞く

ウォッカやビールにトマトジュースを混ぜるカクテル、「ブラッディマリー」や「レッドアイ」は、米国のFDA(米国食品医薬品局)が、兵士の野菜不足を補うために発明したという説がある。それくらい健康長寿に野菜は欠かせない。

今回はトマトジュース、トマトケチャップ、野菜飲料等を製造・販売し、日本人の野菜摂取量を増やすべく奮闘するカゴメの寺田直行社長(64歳)に話をきいた。

カゴメの寺田直行社長

野菜摂取量アップを目指して

当社は約7500種のトマトの種子を持っていて、用途や生産地の環境に応じて利用しています。たとえばトマトケチャップとトマトジュースでは別品種を使っています。また、トマトをもいだ時、ヘタが実についてこない「ジョイントレス」という特徴をもつ品種もあります。ヘタをとる手間が省けるため、収穫時の負担軽減につながるのです。

当社は品種改良だけでなく畑の土壌改良、栽培、工場での加工まで自社で行う“トマトの垂直統合型モデル”をつくりあげています。次は人参など、別の作物でもこれを実現していくつもりです。

 

当社の最大のテーマは「健康寿命の延伸」です。日本の野菜飲料の市場規模は約1700億円で世界トップ。一方、厚生労働省は成人が1日に摂取すべき野菜の目標値を350グラム以上としていますが、'17年のデータで日本人の平均は約288・2グラムで、60グラム以上足りていません。私や当社社員の目標は、この現状を変えることにあります。

当社がもっとバラエティに富んだ商品をつくり、多様な形態で提供し、野菜摂取量をアップさせれば、それが健康寿命の延伸につながるからです。

長野県富士見町にオープンした「カゴメ野菜生活ファーム富士見」の社員と。前列中央が寺田氏。農業体験ができる

創業者の蟹江一太郎が西洋野菜の栽培に着手したのは1899年のことです。彼は陸軍にいた時に「これからは皆が西洋野菜を食べる時代が来る」と聞き、除隊後、キャベツやトマトの栽培に挑戦しました。

ところが、トマトは現在と品種も違っておいしくなく、大量に売れ残ってしまったのです。