食のスペシャリスト&グルメに精通する識者で構成される「FRaU Foodies」が、今イチオシの料理やスイーツなどをお届けします。今回は、パンコーディネーターでモデルのパン野ゆりさんがオススメするカルダモンロール。一般的に馴染みの薄いパンですが、これが奥深いのです。

世界を旅した
ヘッドベイカーが作る
唯一無二のサワードウブレッド

「香りが良すぎて、手に持っているだけで幸福感に包まれます。ひと口食べれば、重量感のあるムギュッとした食感が楽しめて最高です!」

これまで国内外問わず5000個以上のパンを食べてきたパン野さんにここまで言わしめたのが、「VANER」の「サワードウ カルダモンロール」。

サワードウ カルダモンロール 1個¥300(税込み)。

「スパイスの女王と呼ばれているカルダモンを使ったパンです。カルダモンには疲労回復や整腸作用など、うれしい効能もあるんですよ」

“サワードウ”という言葉をはじめて聞いたという方も多いと思います。そもそもサワードウとは一体なんでしょう?

「小麦やライ麦、水、塩のみで作る伝統的なパン種。パンの発酵に使われる酵母のことで、それを使ったパン一般の呼び名にもなっています」

サワードウ ブレッド ¥1200(税込み)。

サワードウブレッドは、アメリカ・サンフランシスコが発祥。そこから世界中でサワードウブレッドを作るベーカリーが増え、「VANER」のヘッドベイカー・宮脇司さんもそれに刺激を受けて渡欧。ノルウェー初のサワードウブレッド専門店の第1号客として訪れた後、スタッフとして勤務しました。

それもあってか小麦粉はノルウェー産のものを使用。水と小麦だけで作られた生地を1日発酵させて焼き上げ、皮はパリッ、中はもっちりとした食感に仕上げています。

ノルウェーを皮切りに、これまで世界6ヵ国15ヶ所で修行してきた宮脇さん。それらの店のスタイルをミックスした独自の手法でパンを作っています。パン野さんオススメのカルダモンロールは、サワードウを使った生地を1日寝かし、それを2層の紐状に巻きつけて焼き上げます。

その芸術的な見た目もさることながら、記事冒頭でパン野さんが語った通り、香りが特徴的。それを実感するためのパン野さん流の食べ方があります。

「噛み締めるほどに味わい深く、香りが鼻に抜ける度に目を閉じて美味しさを噛みしめてください。シナモンロールもあるので、カルダモンロールと食べ比べれば、2つの香りの対比が楽しめておもしろいですよ」

お店は、ビアホールやオリーブオイル専門店などが集まる複合施設「上野桜木あたり」にあります。築約80年の日本家屋を改装した店内では、タイミングがあえば宮脇さんがパンを成形する様子も見られるかも。店前のお庭には長椅子があり、そこで食べることも可能です。

「フグレンのコーヒーも楽しめます!」と、パン野さんが言う通り、長椅子に座ってのんびり、コーヒーとともにパンを食べるのも一興です。「Fuglen Coffee Roasters」は、ノルウェーのコーヒー文化を紹介するマイクロロースター。こちらのコーヒーを扱われることからも宮脇さんのノルウェーへの愛とこだわりを感じます。

苦味と酸味がスッと鼻に抜ける味わいで、サワードウとの相性抜群です。

フグレン 今日のコーヒー ¥360(税込み)。写真左上がカルダモンロールで、右下がシナモンロール。この組み合わせで食べるのもいい。

「年齢や性別、国籍を問わず、パン食を楽しめるのがパンの魅力だと思います」というパン野さん。パンを世界規模で見ているのは宮脇さんに通じるものがあります。パン野さんは続けて、その魅力を語ります。

「世界中どこへ行ってもパンがあり、その土地の文化がパンに反映されていたりするのもおもしろいです。BC8000年頃から始まった小麦文化が、その国々で発展して独自のパン文化に形成される……。お子様からお年寄りまで、アジアからアフリカまで……。多種多様なパンの進化はとどまる事をしりません。

パンを食べることによってその土地の背景を紐解いたり、もっと愛着が湧くのも個人的に楽しんでいます」

宮脇さんが辿ってきた海外修業を思い浮かべながらカルダモンロールを食べれば、パン野さんの考えもわかるような気がしたりして。きっと、いつもとちょっと違うパン体験ができるはずです。

VANER(ヴァーネル)
東京都台東区上野桜木2-15-6 あたり2号棟 1階
☎なし
営業時間:9:00~18:00 ※売り切れ次第終了
定休日:月・火

PROFILE

パン野ゆり Yuri Panno
パンコーディネーター、パンシェルジュ。日本全国のベーカリーを訪れ、年に数回は海外にも足を運び、パンを独自の視点で分析している。トークショーやラジオに出演する他、テキスタイルブランド「gochisou」と東日本橋の『BEAVER BREAD』とのコラボレーショングッズを発売。活躍の場を広げている。モデル・山野ゆりとして、雑誌や広告、CMなどに出演。モデルの職業を活かした、太らないパンとの付き合い方も考案している。

Illustration:YUGO. Composition:Seiki Ebisu