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発酵学の泰斗・小泉武夫教授が語るウイスキーと人間の熟成のはなし

タリスカー・ゴールデンアワー25回(前編)

小泉: 先日、新潮選書からスコッチウイスキーの本が出まして、わたしがその本のオビを書いたんです。シングルモルトって面白いですよね。樽が潮風に晒されて、という表現がありますが、じつは植物も動物も潮風に当たると何でも味がよくなるんですよ。

いちばん感動したのは、フランスのノルマンディ地方の羊ですね。潮風に当たった牧草ばかり食べているので、肉が自然と美味くなるんです。あれもやっぱり潮風が育む味、でしょうか。そういうロマンティックなところがいいですよね。

ところで、タリスカーを熟成させる樽はどこからきているんですか?

ボブ: アメリカのバーボンが入っていた樽を使っています。

小泉: いちばん古いヴィンテージは何年ものが売られているんですか?

シマジ: 小泉先生、鋭い質問です。今年密かにタリスカー40年が売られているんです。それがパレスホテルのバーで一杯25000円で出されていて、先日、飛鳥新社の土井尚道社長からご馳走になったんですが、わたしはその美味さに腰が抜けそうになりました。

相棒のボブに頼んで何とかタリスカー40年を仕入れてやろうと画策中なんですが、もしも手に入ったら、コンピュータ学の泰斗の坂村健教授と、発酵学の泰斗の小泉武夫教授をサロン・ド・シマジ本店にお呼びして飲んでいただこうかなと考えております。

小泉: ありがとうございます。シマジ先生、わたしでよければ何でも言うことを聞きますよ。

いや、しかし、人間だって年をとるに従って熟成していくわけですから、はたしてタリスカー40年がどんな酒に化けているのか、愉しみですねえ。シマジさんだって最近得意の毒舌がなくなってきましたもんね。丸みをおびて、人格者になってきたんじゃないですか。

ボブ: 熟成の度合でいいますと、ウイスキーの年齢に10を足すと人間の年齢になると言われています。

シマジ: 伊勢丹のバーのわたしの格言コースターにこういうのがあるんです。これは一関のジャズ喫茶のマスター、菅原正二が考えた金言なんですが、「モノには限度、フロには温度」。それを常連客の1人がこの格言をリファインしてこうしたんです。「モノのは限度、フロには温度、オレには節度」と。

小泉: あのバーにはなかなかの教養人がいるんですね。

ヒノ: シマジさんはそうやって“アカの他人の七光り”で生きているんです。

シマジ: これはわたしのファンたちの、節度を保って大事にして長生きしてくださいよという友情だね。

小泉: ボブさん、お代わりもいただけるんですか。

ボブ: もちろんです。小泉教授、何杯でも召し上がってください。

小泉: ボブさん、素敵な日本語がありましてね、「アテ」と言うんですが、いわゆる、おつまみはあるんですか。

ボブ: ごめんなさい。ここはMHDのオフィスのなかなの部屋でして、おつまみはご用意がありません。チョコレートとかスモークサーモンがあれば最高なんですが。

小泉: それは残念。来年はいよいよ東京オリンピックだから、「イブリンピック」っていうのをやろうかなと考えているんですよ。

ボブ: イブリンピック? 何をどうする大会なんでしょうか。

小泉: 世界中のおいしい燻製をたくさん集めて、いろんなお酒とのマッチングを考えるわけです。日本にも面白い燻製文化がいっぱいあるんです。秋田の漬け物で「いぶりがっこ」というのはご存じですよね。あれなんかは、ウイスキーのアテに最高だと思いますよ。

シマジ: それは面白そうですね。是非、このタリスカースパイシーハイボールの黒胡椒を作っている横浜燻製工房の栗生社長にも参加してもらいたいですね。

小泉: いいですね。このコショウもたしかに燻していますもんね。

ボブ: わざわざスコットランドからピートを輸入して、それを使ってインド産の最高級の黒胡椒を12時間もかけて燻製しているんです。これは栗生さんの情熱の“作品”です。

ヒノ: いままたタリスカースパイシーハイボールのキャンペーンをやっているんですか。

ボブ: はい。タリスカー10年とストームを1本お買い上げごとにもれなく黒胡椒の燻製がもらえます。3本買ってウェブでお申込みいただくと、特製ハイボールグラスとマドラーが全員にプレゼントされます。

小泉: ボブさん、それ、わたしにもいただけませんか。

ボブ: もちろんです。小泉教授には、本日のお土産にペッパーミルもセットでちゃんと入れてあります。

小泉: 本当ですか。それは嬉しいなあ!

〈後編につづく〉

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飲酒は20歳になってから。
妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
お酒は楽しく適量を。
飲酒運転は法律で禁止されています。
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小泉武夫(こいずみ・たけお)
1943年、福島県の酒造家に生まれる。農学博士。東京農業大学名誉教授ほか、全国の大学で客員教授をつとめる。専攻は醸造学・発酵学・食文化論。学術調査を兼ねて辺境を旅し、世界中の珍味、奇食に挑戦する「食の冒険家」でもある。国や地方自治体など行政機関で食に関するアドバイザーを多数兼任し、また執筆、テレビ出演など多方面で活躍中。ギャラクシー賞ほか受賞多数。食に関する著作は単著143冊、共著25冊を数える(平成29年10月時点)。また『食あれば楽あり』を日本経済新聞に25年間連続連載中
島地勝彦(しまじ・かつひこ)
1941年、東京都生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任した。柴田錬三郎、今東光、開高健などの人生相談を担当し、週刊プレイボーイを100万部雑誌に育て上げた名物編集長として知られる。現在はコラムニスト兼バーマンとして活躍中。 『甘い生活』『乗り移り人生相談』『知る悲しみ』(いずれも講談社)、『バーカウンターは人生の勉強机である』『蘇生版 水の上を歩く? 酒場でジョーク十番勝負』(CCCメディアハウス)、『お洒落極道』(小学館)など著書多数。
ロバート・ストックウェル(通称ボブ)
MHDシングルモルト アンバサダー/ウイスキー文化研究所認定ウィスキーエキスパート。約10年間にわたりディアジオ社、グレンモーレンジィ社、他社にて、醸造から蒸留、熟成、比較テイスティングなど、シングルモルトの製法の全てを取得したスペシャリスト。4ヵ所のモルトウイスキー蒸留所で働いた経験を活かし、日本全国でシングルモルトの魅力を面白く、分かりやすく解説するセミナーを実施して活躍しています。