photo by iStock

政府が決定「地銀の株式保有制限緩和」がもたらす重要な変化とは

捨てたはずの歴史を繰り返す

地方創生に役立つか

政府が、地方銀行に対して、株式保有制限の規定を大幅に緩和する方針を固めた。国の経済政策の方向性を決める経済財政諮問会議が近くまとめる「骨太の方針」に盛り込み、6月にも閣議決定する。

これまで銀行は、銀行法の規定によって、企業の発行済株式の5%までしか株式を保有することができなかった。これを地銀に限って大幅に緩和するとしている。上限をどう定めるかは決まっていないが、政府の規制改革会議では、100%の保有も認めるべきとの意見も出ている。

地方創生の流れの中で、地域商社や地域でのベンチャー企業などを立ち上げる動きが広がっているが、こうした企業向けに限って、5%を超えて出資することを認める方向。また、事業承継や事業再生の過程で、一時的に銀行が100%株式を取得することも想定している。銀行法を改正するか、省令によって地銀のみの特例とする、という。

地方創生を掲げる国は、官民ファンドに資金拠出したうえで、地銀などを通じて個別の地域創生ファンドを作っている。もっとも、なかなか民間からの出資が集まらずに規模を大きくできないケースが目立っている。地域活性化に地方銀行を活用したいというのが、政府の考えだ。

 

地域活性化のほかにも、狙いがある。ゼロ金利政策によって地方銀行の収益が細り、このままでは地方銀行の存在が危ぶまれる事態に直面している。また、地方では人口減少によって新たな資金の需要も少ないため、預金を集めて貸し出しする旧来型のモデルでは事業が成り立たなくなっている。そこで、「融資」ではなく、「出資」を新たな収益源にしたいという意向が、地方銀行の間には根強くあった。

むしろこうした地方銀行の経営問題が、株式保有規制の緩和の「本音」とも言える。実際、経済財政諮問会議の民間議員を務める竹森俊平・慶應義塾大学教授は、4月19日の会議で「地方銀行の経営にとって重大な現実の危機がある今、5%ルールを緩和し、地銀が中小企業の事業継承を円滑化し、次の体制が作れるまでのブリッジの役目を担えるようにすることが重要だ」と提言している。

また、長引いたデフレによって貸付金の回収が進んでいない取引先企業もある。多くは地域で古くから営業する老舗企業が多く、業績が低迷していても強硬な資金回収ができないケースが少なくない。もっともこうした企業への追加出資は難しいことから、貸し出しを出資に切り替える「デッド・エクイティ・スワップ」などで支援を継続したいという声が地銀や地方経済界にも多くある。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら