衝撃!大企業で本当にあった「集団左遷」〜ある日突然、部署が消えた

あの名門企業でも…
週刊現代 プロフィール

新会社を作って送り込む

日本企業の人事に詳しいジャーナリストの吉田典史氏はこう語る。

「かつて部署整理は、非正規雇用を削減するための手法でしたが、近年は正社員もあぐらをかいてはいられません。経営難が続いたシャープでは、希望退職を募ると同時に地方の工場や営業所で配置転換を繰り返し、コストカットを図りました。

どのような理屈で自分がリストラに遭うのか、社員は会社に言い渡されるまでわかりません。ですから社員側も一方的に左遷や出向を飲むしかないのです」

グローバルに展開をしている企業は、「集団左遷」の対象に海外の子会社を選ぶケースがある。

倉本大吾さん(50代・仮名)は音響メーカー大手のパイオニアで、高級オーディオ部門の開発と海外展開に20年以上携わっていた。'00年代初頭、倉本さんは香港法人の要職に抜擢された。同期よりも早い出世だった。

Photo by iStock

「社員が180人ほどいる拠点の実質的なトップを務めていたのですが、ある日、本社の役員から『現地社員が使い込みをしているから引き締める。そっちに人を送る』と言われ、にわかに人の出入りが激しくなった。

それから2年後、今度は新社長なる人物がやってきて、私は本社との会議に呼ばれなくなりました。

そんなとき、現地の得意先から『おたくの会社、大丈夫か?うちが買収する話が進んでいるぞ』と言われたんです。寝耳に水でした。新社長は本社の専務と結託して、身売り話を進めるため、香港に送り込まれたんです」

当時パイオニアはプラズマテレビの失敗で経営状況が悪化していた。だが虎の子であるオーディオ部門を切り売りするなど、それまで誰も考えなかったことだ。

だが結局、現地企業と香港法人の買収話が成立。社員はパイオニアから転籍という形で会社を追われ、片道切符を受け入れないのならば自主退職するしかなくなった。

「身売りが正式に発表されるまで、このことを知っている社員は身売り先と懇意にしていた私だけだったと思います。

香港法人には営業よりもエンジニアなど技術屋が多く赴任していたのですが、身売り直前にはまったく技術開発に明るくない部署の人間が本社から出向していた。

本社から見れば、不要な人材を一気に処分するいい機会だったのでしょう。いつのまにか香港法人は『姥捨て山』になっていたのです。

私も辛い思いをしましたが、いちばんかわいそうだったのは、身売り交渉のために送り込まれた新社長でした。身売りが決まったあと、買収先からクビを言い渡されたんです。部下や同僚には恨まれ、最後は用済みで新会社に捨てられたわけですからね」

 

日本企業の場合、誰が最終的に部下のクビを切ったのか、責任の所在をうやむやにすることが多い。「集団左遷」に限った話ではないが、人材派遣会社と業務提携して「リストラ会社」を作り、そこへクビ候補を左遷するケースがある。

意味のない単純労働をさせられたり、上司から早期退職を延々と促されるが、最後にクビを切ったのは本部ではない、という逃げ口上はできる。手を汚さず、パワハラで訴えられるリスクも減るので、会社にとっては都合のいい仕組みだ。

外資系企業で行われる人員整理は、もっと過烈だ。所属する部署が少しでも目標を達成できないと、あっという間に解散させられ、自主的な「卒業」に追い込まれてしまう。