尊重は行動で示さないと意味がない

奇しくもこの日の朝。事件を知る前に、同じ言葉を見かけていた。
――手を差し伸べる――

スポーツで子育てのアップデートを目指す「スポハグカフェ」を筆者とともに開いている少年スポーツの専門家、福士唯男さんが綴ったSNSへの以下の投稿である。

今朝、池袋のバス停での出来事。
全盲の方が「並んでる列の最後尾はどこですか?どなたか案内してくれませんか?」と声をかけていた。
列に並んでいた人は気がついているものの、誰かが手を差し伸べるだろうと返答しない。
すると「日本人はこういうとき本当に声かけてくれないんだよなあ」全盲の方がぶち切れた。普段からのストレスも溜まっていたのかもしれない。しかし、ごもっとも!
たまたま通りすがった私が案内をすることになった
(一部抜粋)。

困っている人に手を差し伸べる――行動に示すことは「尊重」を勇気をもって示すことでもある Photo by iStock

福士さんは「最近、本当にこんな場面にでくわす」と嘆いたうえで、こう書く。
尊重は頭で理解していても行動で示すことができなければ、現実の世界では役に立たない。人間は様々なシーンで尊重、勇気、覚悟があるかが試される

では、尊重、勇気、覚悟があって「他人に手を差し伸べられる子ども」は、どうやれば育つのか。

言葉のニュアンスから想像できるのは、正義感が強く、人の気持ちがわかる子。いじめをしない子ども像が浮かぶ。

しかし、残念ながら、いじめをしない子どもなどほとんどいない。国立教育政策研究所が実施した「いじめ追跡調査(2013~2015)」によると、小学生の実に9割が「いじめをしたことがある」と答えている

ところが、この子たちが中学生になると、中学3年間でいじめの加害者になったことがないと答えた生徒はおよそ3割いる。逆の立場の被害者になったことがないとの回答も3割。その差はほとんどない。