5、6月に発生しやすい
さっきまで晴天だったのに突然の土砂降りでビショビショに。近年はそんな「ゲリラ豪雨」に見舞われることが少なくない。特に大気が不安定になるこれからの夏場、ゲリラ豪雨は頻繁にやってくる。
雨や雷はもちろん、この異常気象はときに
最近では'17年7月、東京都豊島区に降り注いだ雹は、ゴルフボール大ほどの雹もあり、住宅の窓ガラスが割れたり、屋根が大破するなど、深刻な被害をもたらした。

歴史を遡ると、今から100年以上前の1917年6月、埼玉県にカボチャ大の30㎝近い雹が降ったという記録がある。なんとこの雹の重さは3・4㎏もあったそうで、当たればひとたまりもない。
そもそもなぜ、雹は発生するのか。そのメカニズムを簡単に見ていこう。
雹は5~6月の初夏に発生しやすい。その理由は、この時期は地表が暖かく、上空には冷たい空気がある状態だからだ。そこに強い上昇気流が吹くと、鉛直に伸びた積乱雲が発生する。
雲の中でできた氷の粒は普通、そのまま落下していき、溶けると雨となるが、強い上昇気流を伴う積乱雲の中では、氷の粒がなかなか落ちることができない。
その結果、小さな氷の粒同士が、ぶつかりあって、一つになり、大きくなっていく。大粒になり、上昇気流も支えきれないほどの大きさになると、ついに落下し、地表に降り注ぐ。このとき、この氷の粒の大きさが5mm以上だと、それは雹と呼ばれるのだ。そして、5mm未満のとき、「あられ」と呼ばれ、区別される。
また、「雪やこんこ あられやこんこ」と一緒に歌われるが、雪とあられにも厳密な区別がある。あられはただの氷の塊だが、雪は氷の粒のまわりに水蒸気がくっつき、綺麗な結晶となっている。
ちなみに「氷雨」という言葉は、「雹やあられ」に加え、「冬に降る冷たい雨」のことも指すが、俳句においては夏の季語である。ややこしい。(井)
『週刊現代』2019年6月8日号より