自殺者の7割は男性、
でもSNS相談者の9割は女性

今回、男性の参加者が多かった大学の講演で、男性からも「女性は大変だと思った」「日本では女性が抱く不安や悩みに適切な対処がされていない」というコメントも多くいただいた。

確かに、賃金格差、性暴力への無理解、出産と仕事の両立の難しさなど、女性として日本で生きるのは楽ではないし、女性への一層の支援策は必須である。ただ、男性は男性で、これまで女性の仕事とされてきた育児や家事を自分も求められる中での知識不足や戸惑い、ハラスメントや性暴力とは何か、月経痛の大変さやサポートの仕方などを知らされないできた環境もあるだろうし、分からないこと、相談したいことが少なくないのではないか。

日本の自殺者の割合を見ると、男性が約7割(厚労省)で、女性の方が少ない。しかし現在行われているSNSを通じた相談事業では、相談者のうち約9割が女性という発表(厚労省)もなされている。ここで自殺の話を引き合いに出すのは大袈裟かもしれないが、「男性が弱音を吐くなんて」「男性が悩みを相談するなんて」そういったジェンダー規範も、男性の悩みを不可視化したり、男性が悩みを解消するための一歩を遠ざけたりしているのかもしれない。

すべてのひとが、有害なジェンダー規範に縛られず、その人らしく心身ともに健康に生きられる社会の実現には、女性へのサポートだけでは全く足りない。すべてのひとへの適切なサポートや情報提供が今、求められている。

パートナーにどれだけ言えてる?
あなたの本音

ではどうすればよいか。やはり、「コミュニケーション」だと私は思う。

講演などのアンケートでも、「普段なかなか聞けない女性の本音が聞けてよかった」という声をよくいただく。でも私は、女性の本音、普段は言えないような話を皆さんの前でぶっちゃけているつもりもない。むしろ私は個人的な話をするのは苦手なので、避妊など性に関することでも、科学的根拠のある事実や数字、一般論をお伝えすることがほとんどだ。それでも「普段は聞けない女性の本音」と男性に捉えられるというのは、性に関する話が男女間でほとんどされていない表れともとれるだろう。

性に関することはとってもプライベートで、話したいかどうかも人それぞれだ。一方で、相手とは悩みを全く共有できていないにも関わらず、「相手もわかってくれて当たり前」と無意識に思ってしまうこともある。だからこそ、ふとしたときにわかってもらえていないと感じると、傷ついたりもする。

そんなときは、私のように一般論や科学的事実、数字を使って話すのでもいいと思う。まずは、ひとりで抱え込まず、できる範囲をお互いに聞き合ってみてほしい。案外、相手も「言い出してもいいのかな?」と悶々としているかもしれない。まずは、小さな一歩でいいから踏み出してみる。お互いにとってよりよい関係性を築くためのその一歩に、私は心からのエールを送りたい。

互いに口を閉ざすのではなく、口に出して伝えてみることからはじめよう。Photo/iStock