性のことは女性だけに伝えればいいの?

厚生労働省の予算で「女性の健康推進ラボ」というwebサイトがつくられた。ここには女性が生涯にわたりぶちあたる様々な心身の壁について、多くの専門家との連携のもと情報提供が行われている。

そのサイトは2018年、政府答弁の中で、「『ひとりで悩まない思春期の性と健康』等をテーマに、性に関する正しい知識の普及啓発等を行っている」と、若者の性に関する包括的情報源として紹介された。たしかに、中身をみれば、避妊、妊娠はもちろん、性感染症チェックや性自認・性的指向など、大切な情報が多く述べられている。内容もその分野の有名な先生たちが執筆していて、結構な充実ぶりだ。

しかし、気になるのはサイトの体裁だ。配色が全てピンク、サイトの名前にも“女性の~”とついている。この体裁では、男性、男子学生が当事者意識を持ってアクセスすることはまずなさそうだ。

性の健康に関わる事柄は、女性だけが知ればそれでいい情報であろうか? いや、性別関係なく、全ての人が知るべき内容のはず。それに、男性だって生涯に渡り、様々な健康上の問題を抱える可能性もある。女性たちの性問題しか扱われないのはおかしい。そもそも男女に分ける事自体が、私は、とてもナンセンスだと思う。これまで調べてきた性に関する正しい知識を包括的に扱う諸外国のサイトに見られた、見た目も中身も全ての人が対象という雰囲気と比較すると、ほど遠いものを感じる。

また、最近でこそ減ってきたが、性教育でよくいわれるエピソードに、月経の話は女の子だけが教室に集められて話をされ、男の子は別の話をされたり外で遊んだりしていた、なんてものもある。ここにも、「女の子だけが知ればいい」、いいかえれば、「男性は知らなくていい」という姿勢が垣間みられる。情報提供されるのも支援されるのも女性や性的マイノリティ。男性はあたかも悩みとは無縁かのように扱われている。

スウェーデンにはある男性に特化した相談室

そんなことを思っていたら、ふと思い出した場所がある。スウェーデンの、「メンズ・クライシスセンター」だ。

スウェーデンには、「メンズクライシスセンター(Kriscentrum för män)(リンクはヨーテボリ市の例)」という、男性に特化した相談事業がある。1980年後半以降、ジェンダー平等が進む中で戸惑いや問題を抱えた男性たちのために、全国各地で開設された。各機関、多少扱う内容に差異はあるものの、そこでは家族やパートナーとの関係性、育児への不安、暴力(加害も被害も含む)、メンタルヘルスなど、男性が抱えるあらゆる問題に対応している。中には、グループ療法を取り入れ、DV加害者同士で回復を目指したり、アンガーマネジメントを身につけるプログラムを持つ場所もあったりする。

近年では、性的被害にあった男性のみを対象にしたクリニックが世界で初めて創設されたり、暴力を抑えられない男性のためのホットラインも開始されたりと、スウェーデン国内では男性に対するケアも拡大を続けている。

こちらはスウェーデンのユースクリニック。全国にあり、若者専用で、カップルで来てもいいし、一人で来てもいい。女性の利用者の方が多く、最近は男性利用者がより来やすいように、男性専用の時間を設けるところも出てきた 写真提供/福田和子