「お金とは何か」日本史で考えると、その本質がこんなにクリアになる

最新理論「MMT」と仮想通貨
飯田 泰之 プロフィール

「貨幣の日本史」を楽しもう!

現代の貨幣が外生説に近い性質をもっているならば、仮想通貨の拡大は政府の金融政策手段を損なう由々しき事態である。一方で、内生説に従うならば、もともと政府は国内の貨幣量(現金+預金残高)をコントロールする力は持っていない。基軸通貨が円でなくなったとしても、政策手段を失うわけではないという結論になる6

ただし、MMTの貨幣論は内生説に基づいているが、政府が独自通貨を発行する権利を重視している。国内の信用量は民間での貸借に限定されるものではない。むしろ政府支出による政府負債の増加が国内での信用貨幣の総量を決めることになるというわけだ。外生説なのか、民間の貸借に注目した内生説なのか、政府信用を中心とする内生説なのか――仮想通貨への評価は「貨幣とは何か」という問いに対する基本姿勢によって大きく変化しうる。

 

歴史的な事例を知ることは、現代の経済システムの中で現代の経済システムを考える困難から逃れる手段になり得る。そして歴史的な経験を,あえて現代的な理論によって解釈すると、そこから各理論の持つ時代を超えた性質が浮かび上がる。民間信用はどのようなときに崩壊するのか。貨幣発行による政府支出は打ち出の小槌なのか。現代の貨幣政策を考える上で欠かせない論点にも歴史は豊富な事例を提供してくれる。

そして、このような難しい話はさておいてもどこか先進的で、ある意味ガラパゴス的な日本の貨幣史は単純に面白い。近著『日本史に学ぶマネーの論理』(PHP出版)が世にも不思議な貨幣という存在を楽しみ、皆様の好奇心と想像力を喚起する一助となることができればと考えている。