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愚策!?総務省肝いり「分離プラン」でも携帯料金が改善されない理由

3大キャリアの新料金プランを読み解く

出そろった3大キャリアの「新料金体系」

大手携帯電話3社(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク)の、今夏の新製品が出そろった。

今年は、例年とは少々事情が異なる部分がある。総務省からの指導によって、携帯電話料金について、ある変化が生まれているからだ。

携帯電話料金についてはかねて、「高い」「複雑でわかりにくい」といった悪い評判がついてまわっている。そうした部分を改革する……とされているのだが、果たして、本当にそうなっているのだろうか。変化の内容と「問題の本質」について解説していこう。

大手3社のうち、今夏はNTTドコモとKDDIが料金プランに大きな変更を加えた。ソフトバンクは昨秋、両社に先行して料金プランを大きく変えているため、「2019年以降を想定した料金体系」がようやく出そろった……というのが実情だろう。

まず、新しくなった料金体系の基本をおさらいしておこう。3社ともに、かなり似通ったものになっているが、その特徴は大きく3つある。

1つめは、「携帯電話端末の費用と通信料金が分離され、通信料金による携帯電話端末料金の割引がなくなった」こと。通称「分離プラン」とよばれる施策だ。

多くの人は、携帯電話事業者から端末を買っているだろう。その理由は、携帯電話の長期契約やコンテンツの契約などによって、端末の料金が大きく割り引かれるからだったはずだ。だが、新しい料金施策では、基本的にはそうしたやり方はなくなる。

2つめに、通信定額制にきわめて近い「大容量プラン」と、月間数GBまでの「小容量プラン」に分かれ、より定額制を後押しする流れが強くなっていることだ。KDDIはついに、「容量無制限」プランを導入している。

とはいえ、ソフトバンクはキャンペーンとしてあらゆる通信に制限をかけない施策を展開して「実質無制限」になっているし、NTTドコモも、30GBの容量制限はあるものの、それを超えても1Mbpsでの通信が可能で、動画も不都合なく見られるサービスを用意している。

データ通信コストが下がり、高速化する「5G時代」には使い放題に近い料金になることが想定されているので、それを見据えたプランへと変わってきた、といえるだろう。

【写真】5G時代は使い放題のプラン?
  「5G時代」での使い放題に近い料金体系を想定して、それを見据えたプランへと変わってきた photo by gettyimages

「シンプルにした」? やっぱりフクザツでは…?

そして3つめが、「家族割引推し」だ。家族どうしで同じ携帯電話事業者に契約していると、携帯電話料金が安くなる「家族割引」的なものを、大手3社はともに導入した。むしろ、家族割引に加入することで大幅に料金が割り引かれるのが前提で、「家族割引にしないと損」といえるほどの内容だ。

NTTドコモは、「利用者の8割がすでになんらかの家族割引を使っており、実情にあったもの」というが、“本当の理由”は携帯電話事業者による「顧客囲い込み」と考えざるをえない。

詳細は各携帯電話事業者の公式ページなどをご参照いただきたいが、一言でざっくりといえば、「シンプルにしました」というのが、携帯電話事業者側の主張である。

……という話を聞いても、「いや、ちょっと待って!」と思う人のほうが多いだろう。

「結局、自分はどうすれば携帯電話料金が安くなるのかわからない」「割引条件が複雑で、いくらになるかピンと来ない」というのが本音のはずだ。状況は人によってまちまちで、新しい料金プランよりも、過去の割引のついた料金プランを当面継続したほうが安い……という場合もある。

誰でもすぐにシンプルな料金体系になるか、割引を受けられるかといえばそうでもなく、結局まだ複雑に見える……というのが実情だ。金額的に多少のデコボコはあるものの、大手3社は料金水準的にも、プランの内容的にも似通った印象になっており、「新プランで競争が激化した」という印象はない。