Photo by gettyimages

野村HD「重大不祥事」情報漏洩はなぜ、どのようにして起きたのか

永井CEO「決死の再建」が進む中…

野村ホールディングスは5月24日、東京証券取引所の上場基準の見直しに絡んだ情報漏えいがあったとの社内調査結果を発表した。

今回の事案は、基準見直しのための懇談会に委員として参加していた野村総合研究所(NRI)の研究員が、野村証券のリサーチ部門の社員に情報を伝達。その社員が顧客に情報を漏洩したというものだ。

野村HDは2018年度決算で1004億円という巨額の最終赤字を計上したばかり。事業モデルの再構築に向け動き始めた矢先だけに、信頼回復には時間がかかりそうだ。

 

国内外5000件の機関投資家にメール

まず、今回の情報漏洩の詳細について、野村HDの報告書をもとにご紹介する。

NRIの研究員は、昨年10月から非公開で設けていた市場再編に関する懇談会で、東証の担当者からブリーフィングを受けるうち、「東証一部相当の新市場の指定基準及び退出基準が、『時価総額250億円以上』とされる可能性が高くなっている」と判断。

それを受け、今年3月5日に社内のリサーチ部門ストラテジストにセミナー資料を添付する際、「東証とやり取りしていますと(中略)、250億円(現在の一部直接上場基準)に落ち着く可能性が高くなっているように感じます。念のためですが、ご存じの通り、当方の情報源は非常に偏っています。単なる印象論に過ぎないという点、ご留意下さい」と記載したメールを送信した。

このメールを受信した野村証券のチーフストラテジストは、関心のありそうな同社社員や関連会社社員など計7人に「現時点の東証の意向は、上位市場の指定基準及び退出基準を500億円ではなく250億円としたい模様」といった内容のメールを送った。

さらに、その翌日には、情報源であるNRI研究員に無断で「250億円という目線が急浮上」という一行コメントを、顧客に対する情報提供に使うメーリングリストを使って、国内機関投資家約3000件、海外機関投資家約2000件に送信した。

3月5日のストラテジストからのメールを受信した関連会社社員1名は、ストラテジストに情報源を確認した上でメールの文言から印象論に過ぎないという記載を削除し、さらに情報源を追記して、顧客3社にチャットで提供した。

同社員は翌日、さらに他の顧客も含めた計21社にメールを送り、時価総額250億円から500億円の東証一部銘柄のリストを添付し、「すでに500億円という目線で売られているとしたら、買い戻される可能性があるかもしれません」という文言を加えた。