「イギリスEU離脱」大混迷の中、ブレグジット党が大躍進したワケ

国民はいら立っている…
小林 恭子 プロフィール

これまでにEUを離脱した国はほかにない。

2016年の思いがけない離脱決定後、どの政党も党内に残留派、離脱派がいて、「民主主義の発露としての離脱選択にあらがってはいけない」という縛りもあって、下院内の議論は右往左往した。

メイ首相がEUとまとめた離脱協定案に合意できず、かといってまとまった代案を出すこともできずに、今日まで来た。

一方のブレグジット党はこの間、全国各地で集会を開き、支持者を増やしていた。最後の集会はロンドンの21日。集会チケットは売り切れとなり、約3000人の支持者が参加した。

舞台にファラージ氏がいよいよ姿を現す段階になると、場内には「ナイジェル!ナイジェル!」という掛け声が飛び、ロックコンサートの始まりのようでもあった。

ブレグジット党を取り上げた新聞紙面

将来はどうなる?

今後、ブレグジット党はどうしたいのか?

ファラージ氏は、当選後の演説でこういった。

自分も含めたブレグジット党の躍進で「有権者は(政府に)大きなメッセージを伝えた」。

ブレグジット党には「経験を積んだビジネスマン、ウーマンがいる。私たちは離脱交渉の場に参加したい」。もし10月31日になっても、ブレグジットが実現していないようだと、「欧州議会選挙の数字が総選挙で繰り返されることになるだろう」。

ブレグジット党はメイ首相が去った後の新政権と協力しながら、離脱を実現したいと考えている。

 

保守党の党首選が開始されるのは、正式には6月に入ってからだが、最有力候補のボリス・ジョンソン元外相やドミニック・ラーブ元離脱担当相は「10月31日に必ず離脱する。EUと離脱条件についての合意がなくても、離脱する」と強気だ。

慎重派のハモンド財務相は、25日放送のBBCの番組で「合意なしの離脱」をけん制した。

合意なき離脱で負の影響が出る上に、すでに下院ではこの選択肢が否決されていることを踏まえ、「もしそうなれば、内閣不信任案が出されて、総選挙になる。10月末というデッドラインに間に合わなくなる」と述べた。

離脱をその存在意義にしたブレグジット党の躍進で、新たな首相は「絶対に離脱を実行する」「10月31日までに離脱する」と繰り返せざるを得ない状況となっている。ブレグジット党が次の政権を右傾化させる構図がある。

ブレグジット党人気の一方では、残留を一貫して支持してきた自民党も大きく票を伸ばしていた。両方の政党の支持者を満足させるような、国の指導者を選ぶことができるのかどうか。

首相候補者たちは秋の離脱を「約束」することで、自分で自分の首を絞め、またも有権者を失望させることになりはしないのか。

離脱を決めた英国で、政治の混沌は深まるばかりだ。