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天下りを「知っているのに報道しない」マスコミと記者クラブの罪

読売「異例の1面記事」が示唆すること

中央官庁キャリア職員の天下りへの批判が強まっている。

これまで「公然の秘密」だった検察庁OBによる公証人への再就職あっせんが大手紙報道で大きく取り上げられるなど、「聖域」は着実に狭まりつつある。ただ、天下り自体は憲法上定められた「職業選択の自由」との兼ね合いもあり、完全に禁止することは難しいのが実情だ。

 

読売新聞1面トップの衝撃

読売新聞は5月23日付朝刊の1面トップで、「公証人への再就職あっせん 法務省・検察庁 地検幹部らに」という記事を掲載、「法務省と検察庁が、地検の検事正クラスの幹部らが早期退職する際、同程度の収入が見込める公証人への再就職をあっせんしていた」ことを報じた。

公証人は裁判官、検察官、弁護士など司法試験に合格した法曹有資格者から任命されるのが原則で、公証人の事務所を公証役場という。売買などの契約をはじめ、遺言などについて「公正証書」を作成し国からのお墨付きを与え、トラブルを未然に防ぐ役割を担う。

公証人は国からの給与や補助金などを受けず、収入の原資は国が定めた手数料のみ。日本公証人連合会によると、全国で約500人の公証人がおり、公証役場は約300ヵ所存在する。

読売新聞の記事によると、「同省人事課がどの幹部をどこの公証役場に配置するかの原案を作り、直属の上司である高検検事長らが公募前にあらかじめ本人に意向を打診していた。こうした仕組みは、歴代の検事総長や法務次官も把握していた」という。

この報道が出た時、当の検察関係者はもとより、最も驚いたのは全国の新聞やテレビ、週刊誌などの司法マスコミだった。あるベテラン週刊誌記者はこう話す。

「まず、これが週刊誌やフリーの記者でなく、読売新聞という大手紙で記事になったことが非常に画期的です。

実は、このような天下りがあること自体は、まともに検察担当をやったことのある記者なら誰でも知っている事実です。普段の人事取材で、地方検察トップの検事正がどこへ再就職しているか調べますからね。要するに、マスコミ内では『公然の秘密』だったということです。

それを読売新聞がきっちりと関係者取材による裏付けを伴って報じた。新聞という社会的信頼性の高いメディアに書かれたことは、検察当局にとっては大きな打撃になったと思います」