いいところを褒めてくれる先生に出会う

福井先生はどんな作品も、絶対に否定せず、いいところをまず褒めてくれるのです。だから私も嬉しくなって「もっといい絵を描くぞー」と奮起することができたのだと思います。
私って「褒められて伸びるタイプなんだな」と改めて気づかされました。

その甲斐があり、教室でも回を追うごとに、私の作品をみんなが見てくれるようになりました。
あの頃は、本当に朝から晩まで絵のことばかり考えていました。

またその頃、イラストレーターになる登竜門として人気だったのが、玄光社の「イラストレーション」誌が2ヵ月に一度開催するコンペ「ザ・チョイス」。
セツ・モードセミナーの友人たちと一緒に応募していました。応募作を提出する前に近くのカフェに集まり、みんなで品評会をするのも楽しかったんですよ。
「いいじゃん」「これ通りそうだね〜」なんて言いながら。

イラストレーターになるという夢を持ち続けられたのは、同じ夢に向かう仲間の存在がとても大きかったのです。

2000点の中から入選

そして何度かの落選の後、とうとう私の絵も入選しました。

1998年のことでした。その時の審査員は、ブックデザイナーの鈴木成一さん。
2000点もの応募作品の中から、私の作品を選んでくださったのです。

この時の応募作は、その少し前に開催した初個展用に描いた作品でした。
個展を開催したのは、いまは無くなってしまった表参道の同潤会アパートにあったギャラリーROCKET。

この個展と「ザ・チョイス」入選がきっかけとなり、私はイラストレーターとしてデビューすることができました。

ギャラリーROCKETでの初個展。まだ色の数は多くなかった 写真提供/松尾たいこ

「ザ・チョイス」入選時に鈴木さんがコメントしてくださった言葉は、いまも時々読み返しています。

『COOL!この一言に尽きる。初めて目を開いて、初めて世界を見せられたような気がした。世界はこんなにも光が満ちて、こんなにも明るかったんだ、と思い知らされる。気持ちイイッ!このまなざしを本当に忘れないでほしい。』

時々、仕事を続けることや絵を描くことに迷いを感じたり、不安になったときに「私はこのまなざしを忘れていないか」と自問自答するのです。