セツモードセミナーでは、長澤セツ先生と一緒に三週間のヨーロッパスケッチ旅行にも行きました。毎年、セツ先生が行きたい場所に希望者を募って行くというものです。

その時は、ノルマンディーやコートダジュールなどフランスの港町を周る旅でした。
海辺の町に到着すると、思い思いの場所で大きな画板をイーゼルに立てて水彩画を描きます。海や山をじっと見ていると、その中にいろんな色や形が現れてきて、気がつくと、飲まず食わずで何時間も海を描いていることもありました。この時に、私は風景を描く楽しさに目覚めました。

セツモードセミナー での大原スケッチ旅行 写真提供/松尾たいこ

評価されずに自信を無くす

しかしセツ・モードセミナーでは、あまり評価されず、自分の絵に自信を無くしかけていました。
そんな時に友人に「たいちゃんに合ってると思うよ」とすすめられたのが、「福井真一イラストレーション教室」でした。

今、私は悩みがあると、人にすぐに相談するようにしています。

東京に出る前は、ずっと自分の気持ちには蓋をすると言うのが当たり前になっていました。しかし、東京に出てきて、クラスメートたちと接しているうちに世界には、まだまだ私の知らないことがたくさんあり、自分の知っている範囲だけで解決しようとしたって無理なことが多いと気づいたのです。

この時も相談したおかげで、イラストレーターへの道がグンと近くなったのでした。

玉川高島屋のカルチャーセンター主催の「福井真一イラストレーション教室」は大人気で、いつも数人しか空きがありませんでした。空きを目当てに早朝から並んだのも良い思い出です。

教室の生徒は20人ぐらい。ほとんどが継続して学んでいる人たちで、すでにイラストレーターとして活躍している人も多くいました。

授業は月2回。前半は先生やゲスト(アートディレクターやデザイナー、イラストレーター)の講義でした。そして後半は、生徒たちが描いてきた絵を、みなが囲んでいる先生のテーブルの上に広げ、先生が皆の前でその絵に対するアドバイスをしていくというスタイル。

初めての授業の時、私の順番が来たのでドキドキしながら描いてきた絵を先生の目の前のテーブルに広げました。ところが、先生のテーブルの周りから、なんと、誰もいなくなりました……。興味がない時にはみんな集まってこないのです。席に戻ってお菓子を食べてる人もいて、「ガーン」と打ちひしがれました

しかしそれが逆に起爆剤になり、それ以降、毎回誰よりもたくさんの絵を描いて持っていくようになりました。アドバイスしてもらったことは全てメモを取り、次の作品に生かすという繰り返し。

私はここで絵を描くことが本当に楽しくなったし、グングン自分らしい絵が描けるようになりました。