前経営者と会社がバチバチの対立!LIXIL株主総会の行方を読む

どうかこれだけはやらないように…

異常事態

来月の株主総会を前に、住宅設備大手LIXILグループで、会社と元CEO(最高経営責任者)である現職取締役らの株主グループがそれぞれの取締役選任案を掲げて対立する異常事態が起きている。

異例の現職取締役による株主提案を行ったのは、昨年11月にCEO職を、今年4月に執行役社長職を立て続けに奪われた瀬戸欣哉取締役と、旧INAX創業家出身の伊奈啓一郎取締役の2人だ。

2人を駆り立てた、旧トステム創業家出身の潮田洋一郎氏は、今月20日付で取締役を辞任した。CEO職なども6月で辞任すると表明している。背景には、指名委員会の委員長として、瀬戸氏を執行役社長兼CEO職から解き、いったんは執行役会長兼CEOに返り咲いたものの、海外の機関投資家からコーポレートガバンス(企業統治)の不全を問われたことがある。

しかし、潮田氏の影響力が会社の取締役選任案やまだ開示されていない執行役選任案に温存されているとの懸念は根強い。LIXILグループの執行役ら10人の幹部が連名で、指名委員会に、瀬戸氏の代表執行役社長職を受け継いだ山梨広一氏が執行役やCOO(最高執行責任者))にとどまるとの観測があると問題視する意見書を提出しているという。

潮田氏は、大株主といっても、発行済み株式数の3.0%弱(議決権行使を指図できる信託分を含む)を持つに過ぎず、経営の意思決定に必要な過半数には遠く及ばない。それなのに、なぜ、これほどの権勢を振るうことが許されたのか。異常事態の収拾策とあわせて考えてみたい。

 

何が問題にされたのか

一連の異常事態を考えるうえで、まず確認したいのは、瀬戸氏解任と潮田氏復帰を決めた人事で何が問題にされたかという点だ。

この点について、LIXILグループは今年2月、会社が依頼して第3者の立場で弁護士がまとめた報告書の抜粋を公表している。それによると、問題の人事は、取締役会決定に基づいており「違法ではない」。とはいえ、潮田氏が人事案を取締役会に提案する指名委員会に対し、「瀬戸氏が辞任の意思を有しているかのような誤解を与える言動をした」と批判した。

これを受けて今年3月、イギリスのマラソン・アセット・マネジメントなど海外の機関投資家やINAXの創業家の株主から、臨時株主総会を招集して潮田、山梨両取締役を解任すべきだという請求が起きた。

さらに、会社は先の報告書について「抜粋版の公表では不十分だ」という批判にさらされ、4月9日になって全文公開に踏み切った。全文は17ページに及び、実質5ページ分しか記載されていない抜粋版に比べて、3倍以上の分量に達した。加えて、コーポレートガバナンス・コードに照らし、「手続きの客観性・透明性という観点から望ましくない」としていたことも判明した。

特に問題視されたのは、指名委員会が専ら「潮田氏の説明を前提として議論を進めた」ことや、後任候補だった潮田、山梨両氏が指名委員として指名委員会の議論に加わったまま審議が続けられ、後任候補として当事者になった2人を退席させて2人の適性を確認する過程がなかったことなど、だ。瀬戸氏の真意の確認については、指名委員会だけでなく、取締役会も含めて過程が不適切だと決めつけた。

一方、潮田氏は弁護士による調査の過程で、瀬戸氏のCEO退任理由を「業績悪化」と説明したという。しかし、指名委員会の議事録には、業績悪化を理由に、瀬戸氏の辞任や解任を議論した形跡はなかったし、指名委員の中に瀬戸氏の退任理由を業績悪化と認識している者もなかったとしている。