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スペイン語圏音楽の「レゲトン」が世界で再生数1位を席巻するワケ

コロンビアから世界を見る④

YouTubeで再生回数ランキングNO.1の音楽が何か知っているだろうか?テイラースウィフトか、エドシーランか、ジャスティンビーバーか、PSYか…などと思い巡らすかもしれない。

答えは、カリブ海に浮かぶ中南米の島国、プエルトリコ出身のシンガー、ルイスフォンシ&ダディー・ヤンキーの『Despacito(デスパシート)』だ。スペイン語で歌われるラテン音楽で、2位以下を大きく引き離す62億回再生を超えている。2017年にリリースされた。

Luis Fonsi - “Despacito” ft. Daddy Yankee

Despacitoは世界的ヒットとなり、ロシア語、中国語、日本語etc…世界各国のシンガーが自らの言語でDespacitoをカバーした。日本語版Despacitoは日本の男性シンガーTEEがカバーしている。オリジナル曲の歌詞よりもエロ度が増しているように思える。これはこれで、イカしてる。

TEE - “Despacito”

今、世界で最もヒットしている曲がスペイン語の曲だというのは意外に感じるかもしれない。日本人にとって洋楽といえば普通は英語を指すし、世界的にヒットしている音楽は英語だという先入観があるのではないだろうか。

 

だからDespacitoも、2012年リリースからYouTubeで累計33億回再生している韓国語の『GANGNAM STYLE』のように、例外的なヒットではないかと思われるかもしれない。

ところが、そうではないのだ。Despacito以外にもスペイン語で歌われる曲が鬼のように大ヒットしている。それも中南米のスペイン語圏で生まれたラテンポップが、世界的なムーブメントとなっているのである。先に言っておきたいがこのムーブメントは必然的なものだ。

そもそも、ラテンアメリカ(中南米)では圧倒的に英語よりもスペイン語が共通言語である。ラテンアメリカには33の独立国が存在するが、そのうちスペイン語を公用語としている国が最も多く、18カ国ある。こんな機会もなかなかないから全て挙げよう。

コスタリカ、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバトル、ニカラグア、パナマ、キューバ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、パラグアイ、ウルグアイ、チリ、アルゼンチンである。

他には、英語が公用語の国が12カ国(ただしそのほとんどがカリブ海に浮かぶ小さな島国だ)、フランス語(ハイチ)、オランダ語(スリナム)、ポルトガル語(ブラジル)が公用語の国が1カ国ずつあるだけだ。

さらにプラスして米国にもヒスパニック(スペイン語を母語とするラテン-アメリカ系住民)が5800万人もいる。これはアメリカの人口の18.1%を占めることになる。ニューヨーク、ロサンゼルスなど都市部の飲食店や小売に行けば従業員同士がスペイン語で話している姿を目撃できる。

世界で母語としている人の数は、1位は中国語で10億人超、2位は英語とスペイン語はほぼ同じでおよそ5億人である。しかも英語を母語とする人口は減少傾向にあるが、スペイン語は増加傾向にあるそうだ。スペイン語を第一言語とする国と地域は世界で21カ国ある。スペイン語の歌が世界で良く聞かれているのは当たり前なのだ。

ちなみに私は英語よりもスペイン語の方が話しやすいと感じる。スペイン語の発音が日本語と似ているからだろう。そしてシャープな響きの英語よりもスペイン語はかなり耳に優しいソフトな感じもある。

米国の空港には数多くのヒスパニックの保安検査員が働いている。彼らは英語とスペイン語両方を使っている。

観察しているとスペイン語を話している時はソフトで優しそうな感じなのに、英語を使うとちょっとクールで厳しめに見えてくる。まるで言語が人格に影響しているかのようなのだ。これは筆者の主観的な印象でしかないが言語って不思議なものだと思う。

今回は、私が住むコロンビアを始め、世界で大ムーブメントを巻き起こしている「レゲトン」の秘密を探ろう。