乱立するQR決済サービス「結局どれがいいのか」あるライターの考え

結局、普及までには時間がかかりそう
嶺 竜一 プロフィール

置いておくだけで4%の金利が得られる

爆発的に広がった理由は、ユーザー側に大きなメリットがあるからだ。アリペイで買い物や支払いをするためには、銀行口座からアリペイにお金をチャージしておくのだが、このチャージしているお金に年4%もの金利がつくのである。

銀行の金利よりずっと高い。そのため中国人の多くは、給料が銀行に入ったその日に全額アリペイに送金するのだという。

水道光熱費から家賃から外食からスーパーの買い物まで、支払いは何から何までアリペイアプリで済むから、銀行口座にお金を入れておく必要がない。家計簿をつける上でも、むしろアリペイで全て管理した方が簡単なのだ。

さらに、アリペイにはありとあらゆるフィンテックの最新機能が付いている。スマホでメール感覚で他人に送金したり、飲み会の支払いを割り勘決済できる機能も付いている。また飲食店の情報をチェックして予約したり、タクシーの配車をしたりといったことも一つのアプリで簡単にできる。

つまりアリペイは、直接現金を出し入れする銀行窓口機能は持たないものの、4%もの高金利で預ける預金機能、公共料金も含めたあらゆる引き落とし・送金決済ができるバンキング機能、中国国内ではほぼ100%の支払いに使えるキャッシュレスペイメント機能を持ち、さらに、ホットペッパーグルメや、Uberのような便利なウェブアプリ機能を多数備えている。

それが全てスマホ1つで使える。しかも最近では、海外旅行に行った先でも使えるようになっている。こんな便利でお得なアプリを使わない理由がないのである。

 

驚いたのは、このアリペイがサービスをリリースしたのはもう15年も前の2004年ということだ。初代iPhoneの発売が2007年、中国最大の携帯電話会社ファーウェイの設立が2005年だから、当初は今ほどの仕組みができていたのではないとは思うが、それにしても早い。

私がライターになったばかりで銀行のネットバンキングやオンライン証券の選び方などの記事を書いていた頃だから、ちょっと信じられない。

アリペイのユーザー数は2008年夏には1億人を突破し、2009年夏には2億人を突破したので、日本はこの分野では中国より10年ほど遅れていると言っていいだろう。

日本がこれほど中国に遅れをとった理由は、日本は欧米に次いでクレジットカードが普及した(現在2億7800万枚発行、成人の保有平均2.7枚)ことと、1990年代後半から交通系ICカードが導入されたからだろう。

一方、クレジットカードもICカードも普及が遅れていた中国では、2000年代後半以降の急速な経済発展とともにスマートフォンが普及し、同時にアリペイができたことで、アリペイが一気に金融インフラと化したというわけだ。

では、中国より遅れること10年、私たちは何を選べばいいのか。そもそも、QRペイを始めるべきなのか。

筆者も昨年のPayPay騒ぎまで、日本のQRペイにはほとんど関心がなかった。筆者は一般的な日本人と同じく、クレジットカードとiPhoneのSUICAアプリ、現金を使い分けていて、何ら不便は感じていないからだ。金額ベースで言えばキャッシュレス比は7〜8割ぐらいか。まあ、平均的な日本人並みではないだろうか。