乱立するQR決済サービス「結局どれがいいのか」あるライターの考え

結局、普及までには時間がかかりそう
嶺 竜一 プロフィール

ビックカメラの店員によると

さて、この日のビックカメラの混雑具合がどうだったかということで言えば、ゴールデンウィークだというのに生活家電フロアに他に客は数えるほどしかいなかった。この決済を行うには結構な時間がかかったのだが、レジはガラガラだったので問題にはならなかった。

「こんなんじゃ混乱するんじゃないですか?」との私の問いに、「今回は金額に上限があるからか混乱はほとんどないですが、去年のキャンペーンの時はさすがに大混乱でしたよ。あの時は滅茶苦茶大変でした」とビックカメラ秋葉原店の店員は答えた。

年末、押し寄せた顧客のほとんどはただ「家電が2割引で買える」と聞いて兎にも角にもやってきた人ばかりで、まず、PayPayのQR決済の仕組みからわかっていなかった。アプリのインストールの方法から、クレジットカードまたは銀行口座との紐付けの方法から何から、ビックカメラの店員を捕まえて質問攻めにしたのだ。

店員は覚えたての知識で、なんとかその場でアプリをインストールしてもらい、銀行口座と紐付けて、キャッシュをチャージしてもらい、アプリを操作してバーコードを表示してもらい、ようやく購入手続きに進むという、かなり長いプロセスを、レジに行列を作る客一人一人に行わなければならなかったため、レジ前は大混乱に陥ったのである。

 

スマホQR決済サービス、どれを使えば一番トクか

そんなこんなで突如として日本に登場したスマホQR決済サービス。この記事では「QRペイ」と呼ぶことにしよう。

QRペイには、PayPay、楽天Pay、LINE Pay、メルペイ、オリガミペイ、au Payがすでにリリースしていて、セブン&アイも今年7月から7Pay(セブンペイ)で参入するとのこと。

それだけ選択肢があって、どれを選んだらいいのだろうか。銀行口座と紐付けてお金をチャージするといったことを行うのであるから、消えるサービスや不便なサービスは使いたくない。最も便利で最もお得で、スタンダードになるサービスを使いたいというのが本音だろう。

その話をする前に、このQRペイとはどんなものなのか。少し補足しておきたい。実は中国ではかなり前から使われているサービスだ。

「日本はキャッシュレス化が遅れている。中国では道端に座っている物乞いでもスマートフォンを持っていて、道行く人にQRコードを差し出して電子マネーを恵んでもらっているらしい」

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ある投資家を取材していた時、彼はそんな話をした。2年ぐらい前の話だ。その物乞いを彼が直接見たわけではないらしいので、それが本当かどうかは不明なのだが、中国ではネットでも個人商店でもフリーマーケットでも定食屋でも屋台でも友達同士の売り買いでも、QRペイで決済をしているというのである。

中国のそのQRペイアプリはアリペイ(支付宝=Alipay)と言って、中国最大のIT企業で世界でも時価総額トップ10に入る阿里巴巴集団(アリババ・グループ)が提供するサービスだ。中国では今、アリペイで支払いができない店は商売にならず、都市部ではほぼ100%の店舗が導入しているらしい。

日本でも実はローソンを始め導入している店舗が増えているので「支付宝」のロゴはほとんどの日本人が目にしているはずだが、中国の銀行に口座がある人だけが使えるサービスなので、たいていの日本人は使えない。だからどんなものかわからない人が多いはずだ。

加盟店は日本に来ている中国人だけに向けたサービスを提供しているのだ。2018年11月28日でアリペイのユーザー数はなんと9億人を突破したという。さすが中国の規模は桁違いだ。

中国のQR決済サービスには、アリペイの他に、中国のWeChatというチャットアプリの決済機能としてWeChatPay(微信支付)があり、中国人はほぼこの2つを使っているとのことだ。

そんな爆発的なユーザー数を集めるアリペイのサービスはすごくて、決済手段として導入する店舗側は、導入費用も、月額費用も、決済手数料もかからない。現状で唯一かかる費用は、アリペイにチャージされたお金を現金化するために銀行口座に振り込むときに、2万元(約32万円)を超えた金額に対して0.1%だけかかるだけだ。

POSレジも、カードリーダーも不要なので、ただ、スマートフォンを持っておけばいいということになる。だから露店の店主でも、副業でちょっとネットビジネスをする人でも、誰でも加入できるのだ。