縮こまらずにチャレンジしよう(中澤佑二)

2018年のシーズンをもって、サッカー選手を引退しました。20年以上、現状に満足せず「目標を立てそれを達成する」を繰り返し、常に前に進もうとした現役生活でした。喜びや、時には悔しさを力に変えて、チャレンジし続けることで選手として高く飛び続けてこれたんだと思います。

オリンピックは、アスリートにとって大きな目標の一つです。僕が参加したのは'00年のシドニー大会。正直、国民からのプレッシャーはそれほど感じていなかったんです。というのも、当時のトルシエ監督は徹底した管理主義者。合宿へのゲームやDVDの持ち込みは禁止で、ネットもテレビも見られなかった。それに、サッカー選手は選手村に入村せず、開会式の前から試合があってオーストラリアの各地方を転々としました。なので、オリンピックの実感はあまりありませんでした。それと比べると、東京オリンピックの選手たちは国内の熱気に否応なく触れることになる。プレッシャーは大きいでしょうね。

試合中は、とにかく1対1で負けないぞ、セットプレーではヘディングで点を取ろうと思っていたので、余計なことは考えていなかったですね。ゴールキーパーで先輩の楢崎正剛さんが後ろから指示をくれたし、試合のコントロールはヒデさん(中田英寿)がやってくれる。アメリカ戦でヒデさんがPKを外して負けた時は、ショックよりも「ヒデさんなら仕方ない」という気持ちでした。

オリンピック後は、'02年の日韓W杯で日本代表に選ばれるという目標を立てプレーしました。しかし結局、落選。自国開催のビッグイベントでしたし、本当に悔しかった。でもそこから「自分はタイトルもとっていない。認められるような実力をつけなければ」と落選をバネに、サッカー選手としてより高みを目指すことができたんです。おかげで、横浜F・マリノスで'03年から3ステージ連覇、'04年にはJリーグMVPを獲得、'06年、'10年とW杯でのプレーも実現できました。

ありがたいことに、サッカーはW杯やリーグなど、いろいろな方に観ていただける機会があります。オリンピック・パラリンピックは、サッカー以外の、普段はなかなか見る機会がない競技のアスリートにも注目してほしい。そして、メダルの色や数だけではなく、それぞれの人たちが、目標を掲げ、挑戦する姿を見てほしいです。

アスリートたちの努力や挑戦を知って、それに敬意を持てる社会になってくれたら嬉しいです。選手の皆さんには「縮こまっていても得るものは少ない。勇気を持ってチャレンジを!」と声をかけたいですね。(談)