炎上した「ロケットプロジェクト」の支援を続けた、本当のワケ

投資家として試されている
藤野 英人 プロフィール

信じて託する

その中には小さな男の子の姿もありました。彼はいつか宇宙飛行士になって宇宙に行きたいという夢を持つ少年で、打ち上げを待つ間、塗り絵をしたり絵を描いたりしながら、私にロケットや宇宙のことを夢中で話してくれていました。2号機が宇宙に飛び立つことをまったく疑っていないようでした。しかし、2号機は打ち上げ直後にエンジンが停止。20メートルの高さから落下して大爆発してしまったのです。ロケットが爆発する映像を目にすると、彼は大きな声をあげて泣き出してしまいました。

〔photo〕インターステラテクノロジズ提供

2号機の打ち上げ失敗は私も非常にショックでした。しかし、その少年は私以上にショックを受けていたと思います。大粒の涙を流しながら帰っていく姿を見ると、胸が痛みました。

私には、「あの子を泣かせたままにはできない」という思いがありました。しかし初号機、2号機と失敗が続く中、会社として3号機もスポンサーになるべきかどうかというのは難しい判断です。私たちは常々、投資というのは「信じて託すこと」だと言っています。それを自分たちが実践しなくてどうする、という思いがありましたし、一度スポンサーになったのに「失敗したから降りる」というのは、相場変動に動揺して投信を損切りして解約してしまうようなものかもしれないとも感じました。

 

一方で、私たちはロケットも専門家ではありませんから、失敗の原因を理解するのは難しい面があります。ISTの方々が真面目に頑張っていることはよく知っていますが、一生懸命に頑張る人というのはたくさんいますし、頑張っていても成功するとは限りません。

「飛ぶ飛ぶ詐欺」などという声も聞こえる中、気持ちは揺れました。個人投資家のみなさんと同じように、私たちの中にも逡巡はあったのです。投資というものには「運」の要素があり、私は日頃、それをどう受け入れるかがとても大切だと考えています。また投資家は、どれだけリスクがあるのかを理解したうえで挑戦することも重要です。3号機について検討している間は、投資家として「試されている」という感覚がありました。