亀田誠治が全経験をつぎ込み「無料音楽祭」を開催する背景と本心

令和元年、音楽文化の新時代が始まる
柴 那典 プロフィール

――そうですね。かつてのように海外進出を目指すというのではなく、積み重ねてきた日本の音楽文化が海外に発見されるというフェーズに達している。

だから「日本の文化を輸出する」みたいな考え方もちょっと古くなってきているんじゃないかなと思いますね。そうじゃなくて、向こうの熱心なリスナーが拾ってくれるんですよ。その一方で、もちろん我々も海外の文化にアンテナを張って、いいものをどんどん取り入れる。

これは日比谷音楽祭にも通じる話ですけれど、そういうつながり方になっていけば、文化と文化が混じり合って、さらに新しい音楽、エンターテインメントが生まれていくんじゃないのかと思います。そこには希望しかないですよね。

新しいものを作るためには

――星野源さんがラジオで言われていたことなんですけれど、日本の文化の特色って「天ぷら」にすごく表れているというんですね。もともとフリッターとして伝わった西洋の料理が、日本の食文化として確立していった。外来の文化を自分流にアレンジしていくのが日本文化の特色だ、と。

なるほど。源ちゃんらしい考え方ですね。

――そう考えると、亀田さんがニューヨークのセントラルパークで行われているサマーステージに憧れて日比谷音楽祭を立ち上げたというお話にも、同じマインドがあるのではないかと思うんです。海外に憧れるということが、実は日本らしい文化の営みにつながっている、という。そのあたりはどうでしょうか?

日本人はずっとその気持ちを持ち続けることになると思います。もちろん、日本という国が積み上げてきた素晴らしいものはいっぱいありますよね。そこに関しては僕らから拭い去ろうとしても拭い去れない。

たとえば僕は米津玄師くんが書き下ろしたFoorinの「パプリカ」という曲がすごくお気に入りなんですよ。あの曲は米津くんらしいサウンドだけれど、音階は和風のヨナ抜き音階で、節回しには民謡に通じるものもある。辻本(知彦)さんと(菅原)小春さんが作ったダンスも、海外仕込みだけれど、そこにも日本らしさがある。

やっぱり、どこかに日本人らしい感性というものがあって、そこに関して僕らは自信を持っていいと思います。ただ、すごく大事なのは、そこにグローバルな視点が入ってこないといけないということ。

 

――そうですね。

日本人らしさというものを大事にしながらも、世界の最先端と向き合っている人たちのエッセンスを投入しないといけないと思います。

それが僕がコライトに取り組んでいる理由だし、プロデューサーの友人たちと一緒に毎年グラミー賞を見に行っている理由です。

やっぱり、安定のためにやるようになってしまうと「なんでこんなに同じようなものばかりなんだろう」というものになってしまうと思うんです。

それは音楽産業のための音楽だったり、視聴率をとるためだけに作っているバラエティ番組だったりするかもしれない。単に場を回すためにやっている何かになってしまう。

そうじゃなくて、新しいものを作るためにはグローバルな視点を持たないといけないと思いますね。