日米「ゴルフ外交」の意外な効果についての話をしよう

揶揄する声も聞こえるが…
髙橋 洋一 プロフィール

中国だって気にしているはず

去る25日(土)から、トランプ米大統領が令和初の国賓として訪日している。宿泊はパレスホテルだ。26日午前中には千葉県茂原カントリー倶楽部でゴルフ、午後は国技館で大相撲観戦、夕食は六本木の田舎家東店で会食。さらに27日は、午前中に皇居で天皇、皇后両陛下に謁見し、その後迎賓館で日米首脳会談。午後は北朝鮮による拉致被害者家族との面会を行う。夕食は宮中晩餐会だ。

28日には横須賀基地で海上自衛隊ヘリコプター搭載「護衛艦かが」に乗艦し、大統領専用機で離日する予定だ。

この日程をみると、すぐ分かるのが、安倍首相とトランプ大統領のツーショットの「絵」ばかりであることだ。この「絵」が作られることで、言葉なしで強固な日米関係を国際社会にアピールすることができるので、現時点では日本の外交ポイントは望ましい形で上がったと言えるだろう。

 

トランプ大統領は就任以来「アメリカファースト」の姿勢を打ち出し、その結果、各国と揉めている。そのような中でも、安倍首相とトランプ大統領との個人的関係は極めて良好であり、日米関係はかつてないほどに強固になっている、といえるだろう。

世界各国から見れば、日米関係は羨ましく見えるはずだ。おそらく、貿易戦争でボコボコにされている中国の習近平主席は、安倍首相には複雑な感情を抱いているだろう。筆者は習主席が、米中貿易戦争におけるトランプ大統領の強気の背後に、安倍首相の存在を感じているのではないかと読んでいる。

例えば米中貿易戦争について、マスコミは両国の関税の報復し合いに焦点を当てている。しかし先週の本コラム<米中貿易戦争 検証して分かった「いまのところアメリカのボロ勝ち」>にも書いたように、この勝負は、相手国からの輸入品価格について、どれほど物価が上がるかがポイントなのだ。

この点から米中貿易戦争を見てみると、アメリカの物価はほとんど上がっていない。これはアメリカが中国からの輸入品に関税をかけても、中国からの輸入品は代替可能なので、かけられただけの関税を商品価格に上乗せすることができず、その負担を輸出元の中国企業が背負っている。このため、結果的に中国経済への打撃は大きくなっている。

一方、中国の物価は、特に食品が上がっている。これは関税の分がそのまま輸入品の価格に上乗せされたからで、結局、中国の消費者が割りを食っているのだ。企業も消費者も負担が増えているのだから、このままでは中国はボロ負けを喫することになる。

といって、アメリカがいま中国に要求しているのは、産業補助金などの見直しなど共産党による一党独裁を根底から覆すようなもので、中国政府が簡単に応じられるわけもなく、結果、出口が見えなくなっている。そのうえ、アメリカはファーウェイ(華為技術)排除に本気になっている。この一件でも中国側の不利は否めない。

もっとも、2018年4月、トランプ政権は現在の対ファーウェイ戦略同様、中国企業「ZTE」へのアメリカ製品の輸出禁止を発表したが、その翌5月、トランプ大統領は「習近平主席への個人的な好意」を理由としてZTEへの制裁を取り下げるとした。結局、ZTEには10万ドルの罰金とZTE内に米国監視チームを設けるという条件が課されたのみだった。今回も、中国は同様な措置を期待しているはずだ。

6月に日本で開催されるG20までに、なんとかファーウェイの排除措置を取り除きたいと思っているだろうし、そのためには、トランプ大統領との固い友情関係を見せた安倍首相の助けも借りたいくらいだろう。

ファーウェイの排除措置がどうなるかは甚だ予測が困難だ。なぜならアメリカ議会においては、民主党も共和党とともに中国に対して強硬姿勢を示しているからだ。来年11月に米大統領選挙も控えており、ここでトランプ大統領が中国に変な妥協をすると、民主党に政権攻撃の材料を与えてしまう。ZTEのようにすぐに制裁解除になるかどうかは、予断を許さない状況なのだ。

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