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なぜ「超高価な新薬」が増えるのか? 知られざる「からくり」を解説

白血病の新治療薬は1回3000万円

白血病薬キムリアの保険適用

5月15日、血液のがんである白血病の新しい治療薬「キムリア」が、日本で保険医療の対象となった。

治療は一回でいいのだが、その公定価格は1回で3349万3740円という。

保険適用ということは、もし3割負担とすれば医薬品代だけでおよそ1000万円の支払いとなり、差額の2000万円あまりは医療保険から支払われる。

日本では、所得に応じて個人負担に上限を定める「高額療養費制度」があるので自己負担ははるかに少額になる。

年収370〜770万円であれば自己負担は40万円程度という(朝日新聞5月16日)。

キムリア 〔PHOTO〕ノバルティス

医薬品と呼ばれているものの、先端医療医薬品(ATMPs)とか細胞遺伝子治療医薬品(CGTPs)と総称される治療法の一種で、化学物質ではなく、生きた細胞そのものだ。

キムリアは、個別の患者さんに合わせて次のような手順で作られる。

 

まず、患者さんの血液から採集した白血球のうちのT細胞だけを選択して凍結保存し、ノバルティスファーマ社の米国の研究所に送る。

次に、そのT細胞にキメラ抗原受容体(CAR)を遺伝子導入して、白血球のB細胞が突然変異したがん細胞だけを攻撃するように変化させて培養し、その数を増やす。

この遺伝子導入したT細胞(CAR-T)がキムリアであり、患者さんの体内に点滴で戻すと白血病のがん細胞を攻撃する仕組みだ。

25歳以下の再発・難治性B細胞性急性リンパ芽球性白血病と再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫というかなり特殊なタイプの白血病だけに保険適用となった。

そもそも患者数の少ない希少疾病であり、この治療法の対象となるのは日本国内では最大で年間216人という試算もある。