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「これで無罪なら性犯罪は…」強制性交事件「無罪判決」の衝撃

裁判官が性犯罪の実態を知らなすぎる

名古屋地裁岡崎支部の唖然とする判決

このところ、悪質な性犯罪に対し立て続けに無罪判決が出され、大きな批判を浴びている。

なかでも、一番反発が大きく、今でも波紋が広がっているのが、名古屋地裁岡崎支部が今年3月26日に出した無罪判決である。

被告は、2017年に当時同居していた実の娘(当時19歳)と性交したとして、準強制性交罪で起訴され、懲役10年が求刑されていた。

 

強制性交罪というのは、かつての「強姦罪」のことであり、2017年の刑法改正によって罪名が改められた。

かつての強姦罪は、男性器を女性器に挿入する行為だけが対象であったのに対し、被害者の性別を問わず、口腔性交や肛門性交など「性交類似行為」も含めて「強制性交罪」とされることとなったのである。

また、「準」というのは、暴力や凶器を用いて力づくで性交したというのではなく、相手の心神喪失や抗拒不能の状態に乗じて性交した場合を指す。

たとえば、被害者が酔いつぶれていたときや、マインドコントロールなどで心理的に抵抗ができないような状態に置かれたときなどに成立する。

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「準」というと、何か罪が軽いようなイメージを抱かせるが、けっして、強制性交罪よりも罪が軽いわけではなく、いずれも懲役5年以上という重罪である。

この事件で被害者は、「長年にわたって父親から虐待を受け続けており、心理的に抵抗することが不可能だった」と主張し、準強制性交罪で訴えていた。

一方、父親側は「被害者である娘は同意しており、抵抗できない状態ではなかった」と主張して争っていた。

判決で、鵜飼祐充裁判長は、性交はあったこと、娘からの同意はなかったことは認め、さらに「被告が長年にわたる性的虐待などで、被害者を精神的な支配下に置いていたといえる」ということも認めた。

しかし、「抗拒不能の状態にまで至っていたと判断するには、なお合理的な疑いが残る」として、無罪を言い渡した。

実の父親が、同意のない未成年の娘に対し、恐怖心から精神的支配下に置いたうえで性交をしたことまで認めているのに、「抗拒不能であったかどうかわからない」という理由での無罪判決である。

最後の最後で「大どんでん返し」のような理不尽で残酷な判決である。