幼いころからピアノ→藝大卒に聞いてみる

まてよ……そういえばうちのパートナーは3歳から田舎でピアノをやらされ、東京藝大を卒業している。

つまり習い事が役立った例と言えるのではないか? なんだ。案外身近にいたな。
というわけで習い事エリートの「メシジマ先生(36)」に聞いてみた。

――うちの子供にピアノをやってほしいなあと思うのですが、どうでしょう。

本人のやる気がないなら無駄。本人がちょっとでも興味あって、本気でピアノやらせたいならいますぐやらせたほうがいい。泣いても叫んでも管理して毎日練習。あとは運」

――こないだテレビで「おまえはピアノをやらないと路頭に迷う」と親に脅されていた、と清塚信也が言ってました。ピアニストは過酷ですね。習い事はなにをどうすればいいと思いますか。

「遊びなら家でやればいい。本気でやるならとにかく泣いても叫んでも続ける。それだけよ」

――過去に何か嫌なことでもあったのですか。

習い事なんて嫌に決まってるじゃん。最初は自分がやりたいって言ったらしいけどね。1年後にはもうそんなの忘れてるから」

途中から半ば親に強制的にやらされていた彼女は、今ではまったくピアノを弾かないどころか音楽も聴かない

彼女は大学を出たあと「私に必要なのは芸術ではなかった」と気づき、すべてを捨てて医学部受験という悪魔の道を進み始めてしまったのである。

ゼロというかマイナスからのスタート&塾講師のバイトをしながら冷えたカップ麺を2回に分けて食べるような極貧生活を9年つづけてなんとか合格。現在は国立大の現役医学部生である。

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「子供の頃からピアノじゃなくて塾に行ってれば良かった。学力さえあれば9年も浪人しなくて良かったんだよ」

出た。これぞ習い事の罪。適性を間違えたパターンである。
が……しかし

でもねえ。ピアノの経験があったから9年やれたのも事実なんだよね」

普通、医学部受験で9年は浪人しない。やっても5年までだ。下手すれば人生が終わるレベルである。それを乗り越えられたのは3歳から続けたピアノを思い出したからだという。確かにピアノをやっていた20年からすると浪人期間の9年は短いが……それにしても狂気を感じる。

どうやら結論が出たようだ。

親が自己実現のためにおしつける「習い事」になってないかチェックすべき
将来「ぜんぜん適性違ってた!」というのはお互いにとって不幸である
全力で取り組んで手に入れたスキルは、他ジャンルで役立つことがある
子供が自発的にやりたいというのなら全力でバックアップしよう

本気の「習い事」とは、「スキル習得のための試練」なのだ。楽しい習い事もあるだろうが、それはあらゆる適性がマッチングした稀有な例である。半端にやると、ぼくのように何一つ身につかないで終わる。本気で習い事をやるなら覚悟しなくてはならない。そこには夢も希望もない

いつまでも習い事ガチャを回している場合ではない、本気なら誰になんと言われようとも断固たる決断力と行動力で今すぐ子供とともにレッスンを開始すべきだろう。誰に何を言われようともあなたの本気を見せるのだ。

いずれにせよ、習い事で身につけるべきは「狂気」なのだ。

追記
ちなみにウチは(これまでの結果を見返してみても)習い事になんの希望も持っていない。

*歌舞伎町カリスマ育児ロード『キッズファイヤー・ドットコム』が川口幸範さんによって漫画化され、ヤングマガジンにて連載中。是非小説と漫画とを読み比べてみてください。どちらもめろんワールド炸裂です。