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山中伸弥氏の告白「平尾誠二さんに教えてもらった大切なこと」

いまも君に励まされて、僕は生きている
あまりに早い別れだった。'16年に53歳で亡くなった天才ラガーマン・平尾誠二。しかし、「平尾はいまも生きている」と親友たちは言う。彼と過ごした宝物のような日々は、忘れることなどできない。

本当の「格好よさ」を知った

5月24日に刊行された『友情2 平尾誠二を忘れない』(講談社刊)。編者である京都大学iPS細胞研究所所長・山中伸弥氏は、癌と闘う平尾氏を彼の家族と共に支え、そのときの平尾氏の姿に胸を打たれた。

〈平尾さんとの楽しかった思い出は数えきれませんが、目に焼きついているのは、1年余り続いた闘病中の姿です。

いつまで生きられるかわからない厳しい状況にありながら、まったく怯むことなく、ご家族や、ぼくを含めた周囲の人たちへの思いやりを常に忘れず、ユーモアをもって接してくれました。

誰でも元気で調子がいいときは上機嫌でいられますが、あの大変な状況のなかでも彼は変わらず、明るくて豪快で優しい平尾誠二のままだった。

 

むろん、葛藤はあったと思います。働き盛りの時期に、深刻な状態の癌だと宣告されたのですから、あまりにも理不尽です。けれど彼は、その理不尽を嘆いたり恨んだりしなかった。そんな状況でも「しゃあないか」と言ってのけ、最後までまったくブレなかった。それこそが彼の強さであり、格好よさなのだと、あらためて思います。

そういう平尾さんの姿を、しんどいことがあるたびに思い出し、勇気づけられていることをありがたく感じます〉

天才ラガーマンと、ノーベル生理学・医学賞を受賞した医学者が出会ったのは'10年秋。「週刊現代」の対談で顔を合わせて意気投合し、親密な付き合いを重ねて大人の友情を育んだ。そのなか、'15年9月に平尾氏の癌が判明したのだった。

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13ヵ月におよぶ闘病に寄り添いながら実感した平尾氏の「最後までブレない強さ」。それは「レジリエンス(resilience=対応力)」と「感謝」という言葉で解くことができる。山中氏はそう考え、中学時代に柔道を教わった西濱士朗氏('13年に癌で逝去)との思い出を交えて、こう綴る。

〈西濱先生の癌が急速に進行した大変なときに、ぼくはお見舞いにうかがいました。そんな状態でも西濱先生は、平尾さんと同じようにあるがままに病気を受け止め、動じていません。先生がぼくに訊きました。

「山中君、レジリエンスっていう言葉を知っているか?」

恥ずかしながらぼくはこの言葉を知らず、「何ですか?」と尋ねると、

「つらいことがあったときでも、しなやかに適応して生き延びる力のことだ。たとえば、神戸や東北の震災で家族も家も失くした人が大勢いた。立ち直ることができなかった人がいる一方で、希望を失わず、前向きに生きている人もいる。その強さがレジリエンスだ」〉