トランプさん、「トクヴィル」をお読みになりましたか?

米大統領の「たしなみ」としての古典
宇野 重規

トクヴィルを今読み直す意味

一九世紀のアメリカ社会を観察し、『アメリカのデモクラシー』をまとめたトクヴィルであるが、その考察は、つねに現在を生きる私たちに何らかのヒントを与えてくれる。

 

良きにつけ悪しきにつけ、それまで社会を支配していた伝統的な権威が失われ、社会の階層的秩序が崩れるときに何が起きるか。それを読み解くトクヴィルの目はつねに鋭い。

かつての貴族制の社会において、人々が身分別に住み分け、相互に隔てられていたとすれば、民主的な社会では多様な人々が直接ぶつかり、時として軋轢を生み出す。しかし、そのダイナミズムからこそ新たな時代が生まれるのであり、それを逆戻りさせることはできない。むしろ、それを直視すべきというのがトクヴィルの教訓である。

トランプを大統領に押し上げたのは、あるいはデモクラシーの新たな波動なのかもしれない。その波動が社会をどのように変えていくのか、多くの人が注目する今日、トクヴィルは読みでのある著者であり続けるだろう。

ところで、トランプさん、トクヴィルはお読みになられたでしょうか。まだでしたら一度、『アメリカのデモクラシー』をじっくりお読みくださるようお薦めします。えっ、長すぎるって?それならちょうどいい本があります。日本語の本ですが、これを読めばトクヴィルの思想のポイントがつかめますよ。あなたも自分のことをよりよく理解できるはずです。