緊急避妊薬のオンライン診療解禁の光

OTC化が見送られてから約2年……。今まさに、厚労省では、緊急避妊薬を「初診対面診療の原則の例外」としてオンライン診療の対象とするかについて検討会が行われている。

もし、オンライン診療が認められた場合は、医療機関を直接受診することなく、スマートフォンなどのビデオ通話で医師の問診を受け、電子処方箋を用いて、近くの調剤薬局で緊急避妊薬を受け取ることが可能になるかもしれないのだ。

では、なぜ、突如このような議論が始まったのだろうか?

背景には、不適切と指摘される緊急避妊薬のオンライン診療や、インターネット上の個人的な売買や譲渡が頻発しているという問題があるといわれている。SNSやフリマアプリには「アフターピル1500円で売ります」といった書き込みがあり、不正な売買による逮捕者まで出ている。これは早急に改善しなくてはいけない問題だ。

でも、よく考えてみてほしい。なぜネットで購入してしまうのか? 「時間がない」「受診することに抵抗感がある」「病院が遠い」「価格が高い」……、こういったことがネット購入の理由になっている。

無料配布や低価格で薬局で購入でき、誰でも簡単にアクセスできる国ではこのような問題は生じないだろう。「安易に販売される懸念がある」としてハードルを上げ、高額に設定したことが日本の今の状況を生みだしたと考えられる。

オンライン診療についてはまだ検討中であり、条件の面では気になる議論もみられる。しかし、それでもこのニュースは、大きな前進だ。もちろんオンライン診療が可能になることがゴールではない。ゴールは、世界のスタンダード通り、処方箋を必要とすることなく、薬局で安価に入手できるようになることだ。

オンライン診療によって、これまでの院内処方ではなく、窓口が薬局になり、より多くの薬剤師が緊急避妊薬を扱うようになることは、将来的にOTC化につながる可能性がある。また、OTC化が実現するまでの間、対面診療以外でも安全に入手できるシステムが必要だ。

なにより大切なのは、困っている人たちが、安心して早く、緊急避妊薬を入手できる選択肢が増えることなのだから。

医療は人を罰さない

しかし、緊急避妊薬が簡単に入手できるようになったら……、「安易に乱用される」「性が乱れる」「やらかした人は自業自得」「性暴力被害者と区別すべき」、こんな声が聞こえてくる。

緊急避妊薬が必要となる理由や、女性が抱える問題の背景は様々だ。たとえ、不特定多数の人と避妊をしないセックスをして緊急避妊薬を求める女性がいたとしても、表面的な理由だけで「この人は安易に考えている」と決めつけることが誰にできるのだろうか。一方、性暴力被害にあってもそれを打ち明けることなく「コンドームが破れました」とだけ言う女性もいる。緊急避妊薬が必要になった理由によって、また、その理由を言えたかどうかによって、医療の提供を差別化することは人権侵害ではないか。

そもそも医療には、人を罰したり、律したり、ジャッジする役割があるのか?
緊急避妊薬は、個人の価値観や自己責任論でアクセスを差別化されるものではなく、必要とするすべての女性の健康を守るために、安全かつ平等に提供されるものでなければならない。

一番大切なことは、困っている人たちの目線にたって、様々な人たちが一緒に考え、変えていくことだ。私たちには、一人ひとり、安全で満足できる性生活を送り、適切な情報やサービスを受け、自分の体のことを自分で決める権利がある。日本も、性と生殖に関する健康と権利(セクシュアルリプロダクティブヘルス&ライツ)を大切に尊重する国であってほしい。

どんな女性にも平等に緊急避妊薬が入手できる世の中が当たり前なのだから。Photo/istock