思いがけない妊娠や出産を減らすためには

思いがけない妊娠や出産は、深刻な事件に発展してしまうケースもある。児童虐待の死亡事例のうち、産まれた当日に亡くなる生後0日児は18.6%を占める。

背景には、性教育やコミュニケーションの不足とともに、日本の避妊法の遅れがある。国連が2011年に発表したデータによると、先進国の避妊実行率は72.4%(世界平均62.%)なのに対し、日本の平均は54.3%

日本の避妊法はコンドームが40.7%、腟外射精が11.8%、低用量ピルが1.0%であり、「女性が主体的でない、不確実な避妊法に偏っている」と指摘されている。そもそも腟外射精は避妊になっていない

日本では“避妊具”の代名詞であるコンドームは、海外では、性感染症予防を目的に利用され、避妊法は別のものを「併用する」ことがスタンダードだ。なぜなら、コンドームよりも効果が高い避妊法が存在するからだ。

日本では、コンドームよりも効果の高い避妊法は、低用量ピルと子宮内避妊リング/システム(IUD/IUS)がある。しかし、低用量ピルは「女性の性が乱れる」という意見などがあり長年認可されず、国連加盟国のなかで最も遅く1999年に認可されたものの、まだ普及しているとはいえない(ちなみにバイアグラは申請からわずか半年で同年認可されている)。

海外では、避妊インプラント、避妊パッチ、避妊注射など、女性主体で選択できる効果の高い避妊法が数多く存在する。男性用コンドームが主流の日本とは違って、避妊は「してもらう」ものではなく、女性が自立して選択できるものだ。

しかし、たとえ、性教育が行き届き、正しい知識や多様な避妊法の選択肢があったとしても、「緊急避妊」はなくてはならないものだ。避妊をしていても失敗することや性暴力被害にあうことなど、緊急避妊が必要となる万が一の事態は、いつでも誰にでも起こり得るかもしれないからだ。

緊急避妊薬に立ちふさがる
2つのハードル

緊急避妊とは、避妊が十分でなかった性交の後に緊急的に高い確率で妊娠を避ける方法であり、性交後なるべく早く、72時間以内に内服する緊急避妊薬(モーニングアフターピル)と性交後120時間以内に子宮内に留置する子宮内避妊リングがある。

日本では2011年に緊急避妊専用薬であるノルレボ錠が解禁になった。これは従来のヤッペ法という中用量ピルを代用する方法とは異なり、副作用が少なく、安全性が高い。しかし日本では、入手にあたって2つのハードルがある。

処方箋医薬品であり、医療機関を受診し、医師の問診を受ける必要があること。仕事や学校で診療時間に受診できなかったり、休日夜間や医療機関の少なかったりする地域では特に入手が困難といわれている

高額な価格設定。医師の意見や開発期間を考慮したとされているが、保険適用はなく自費で15000円~20000円。今年3月に発売されたジェネリックでも6000円~9000円くらいだ

一方、海外では、薬局で薬剤師から購入できる国が多く、なかには数百円や無料で配布する国もある。

緊急避妊薬を購入しにくくしているゆえに、身元がわからないネットでの購入に走るケースもある。安心して手に入れられるようにすることが大切だ Photo by iStock

WHO(世界保健機構)は、「意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性および少女には、緊急避妊にアクセスする権利があり、緊急避妊の複数の手段は、国内あらゆる家族計画のプログラムに常に含まれなくてはならない」と勧告。緊急避妊薬を“エッセンシャルドラック(必須医薬品)”と位置づけ、「人口の大部分におけるヘルスケア上のニーズを満たすものであり、個人やコミュニティが入手できる価格であるべき」と提言している。

つまり、特別な薬ではなく、もっと安く、簡単にアクセスできる薬でなくてはならないのだ。しかし、日本はそのような国際的基準にはびっくりするほど届いていない。