新天皇と雅子皇后、初の地方訪問が示す「皇室大変革の予感」

二重権力、三重権力が現れる可能性
原 武史 プロフィール

グローバル化と登山

まず想定されるのは、皇室のグローバル化です。

まだ体調の問題があるとはいえ、元外交官という雅子皇后の経歴から言っても、海外訪問はいずれ行いたい行事の一つでしょう。明仁天皇と美智子皇后は、太平洋戦争末期に米国と戦って敗れた南方の島々への「慰霊の旅」を戦略的に行ってきましたが、こうした点でも違いを出してくるかもしれません。

 

例えば地方訪問に合わせて、式典や施設訪問の合間に登山の予定を入れ、そこで一般国民と交流を行えば、「平成流」との違いは明らかになります。こうした「平成流」との違いがどのようなタイミングで打ち出され、またどのような世論の反応を生むのか。

ここでひとつ懸念されるのは、徳仁天皇が登山した場合、保守派に利用されるかもしれないことです。一見すると登山はカジュアルな趣味に見えますが、天皇が行う場合は「国見」、つまり「高い所から国土を望み見る」という古代天皇の行為になぞらえることもできるからです。歴史や素朴な信仰が絡み合って、保守派の期待を裏付けるような論説も今後出てくるかもしれません。

2002年7月、大菩薩峠で(Photo by gettyimages)

もちろん、新天皇が築いてゆくであろう令和の新たな「象徴天皇」像をどう評価するかは、国民にかかっています。ただ、正しい評価をするためには、「平成流」を作り上げた明仁上皇・美智子上皇后の足跡や意図、また明治以降の天皇の歴史について今一度振り返り、考察を深める必要があります。

どうして天皇や皇室について深く考えなければならないのか。それは、令和の時代には、皇室内部の権力構造が大きく変化することが予想されるからです。